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クラウド連携で市場拡大に対応 データの急増がオブジェクトストレージに追い風――スキャリティ・ジャパン
2018/09/11 09:00
週刊BCN 2018年09月03日vol.1741掲載
オブジェクトストレージ市場は、普及期を迎えた。データを分析することで、デジタルトランスフォーメーションを起こそうと、企業はデータを収集している。この急激に増えるデータの収納において、オブジェクトストレージのニーズが高まっている。江尾浩昌・代表取締役は「2017年がオブジェクト元年になると期待していた」と語る。ところが、本格的な波が起こったのは17年後半に入ってからだった。「オブジェクトは新しい技術。ストレージを単純にリプレースすることはできない。アプリケーションも変更する必要がある」と江尾代表取締役は説明する。インフラだけではなくシステムも見直す必要があり、導入まで時間がかかるという。
さらに、同社が注力するターゲットは、1PB~10PBの大規模システムだ。慎重に入れ替えを行うため、システム検証に1年ほど時間がかかるという。そのため、17年の同社の伸びは20%増にとどまった。今年前半から検証のフェーズに入った案件がいくつかあり、今年から来年にかけて飛躍が期待できるという。
スタートの遅れはあるものの、オブジェクトストレージ市場は「必ず伸びる」と江尾代表取締役は力強くいう。IDC Japanも国内のファイル/オブジェクトストレージ市場の年間平均成長率は10.5%と予測している。
市場の拡大に備えて、同社は「RING」の機能強化を図った。RINGはx86サーバー複数台を使ってオブジェクトストレージを構成できるSDSで、8月1日にリリースした「7.4.1」は管理機能の「Amazon S3 Service Managementコンソール」を強化し、AWSスタイルのアクセス制御と管理を実現。AWS IAM(Indentity and Access Management)APIと100%互換があるサービスを独自に実装した。18年第4四半期には「RING 8」をリリースする予定で、クラウド連携機能を強化する。RINGとAWSやAzureなどのパブリッククラウドをまたいだメタデータサーチ、RINGとパブリッククラウド間の非同期レプリケーション、ライフサイクルによるオブジェクトの削除、クラウドへのオブジェクトの移動機能を実装する。さらに、マルチクラウドデータコントローラー「Zenkoエンタープライズエディション」を9月にリリースする。Amazon S3 APIを介してマルチクラウドにアクセスできるオープンソース(OSS)のゲートウェイソフトで、Amazon S3だけでなく、Azure Blob Storageや各種クラウドストレージにアクセスしてデータをやり取りできる。
製品の強化に加え、販売も強化する。同社は提携代理店経由で提供しており、代理店との同行営業を強化するほか、直接エンドユーザーに提案し、代理店を紹介するハイタッチ営業も強化していく。(山下彰子)
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