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kintone、Lightning Platformに真っ向勝負 創業1年のスタートアップと組むナレッジスイートの勝算
2018/08/02 09:00
週刊BCN 2018年07月30日vol.1737掲載
富士通エフサス出身SEが一人でつくりあげた製品
今回の協業の具体的なかたちは、ナレッジスイートがインプリムに2800万円出資し、インプリムの発行済み株式の14.3%を取得する。さらに、ナレッジスイートはPleasanterのOEM提供を受け、新サービス「Shelter」として販売、売り上げを両社でシェアする。稲葉社長は「お互いがWin-WInで大きく成長できる要素が揃っていた」と強調する。インプリムの創業者である内田代表取締役は、19年間富士通エフサスでプロジェクトマネジメントに従事してきたキャリアをもつ。大規模システム開発に携わってきたなかで、「情報共有の非効率さなど、既存のITツールの不満を解決する製品を探していたが、フィットするものがなかった。ならば自分でつくってしまおうと考えた」(内田代表取締役)のが、Pleasanter開発のきっかけになった。同社在職中の通勤時間や休日を使い、2年間をかけて一人でつくり上げた。
Pleasanterは業務アプリケーションをノンプログラミングで短時間に構築するためのツールであり、「メジャーな製品ではkintoneやLightning Platformが競合となる」(内田代表取締役)と考えるとわかりやすい。内田代表取締役は、「前職での経験から、会議の場などで議題に沿ったレポートを議論に水を差さないスピードでリアルタイムに作成できることにこだわった」と強調する。ガントチャートやプロセス管理を可視化する「カンバン」、クロス集計など、場面に即したデータの見せ方や必要な分析をスピーディーに実現するという。「動作の軽さは競合製品と比べても圧倒的で、UIの柔軟性なども格段にすぐれている」と、内田代表取締役は製品の仕上がりに自信をみせる。
また、Pleasanterはオープンソース化されており、インプリムはこれを無償プランを含む利用規模に応じた複数の料金プランを用意したクラウドサービスとして展開しているほか、オンプレミスでも提供している。オープンソースであるため、オンプレミスで提供する場合は同社がサポートサービスや導入支援、既存システムとのインテグレーション、場合によっては業務アプリ作成までを手がけ、それらが収入源になる。
内田代表取締役の自信を裏づけるように、インプリムは2017年3月の創業から1年足らずで、複数の大手顧客にPleasanterを納入している。富士通やオムロン、大手メーカー、鉄道会社などをユーザーとして獲得している。「kintoneのようなことをオンプレミスでやりたいという潜在的なニーズが非常に大きかったという印象。1000人単位で使っていただいていたり、グループ数十社に展開して使っていただいていたりと、大規模ユーザーが増加傾向にある」という内田代表取締役の言葉どおり、現状では大企業がオンプレミスで大規模に導入する案件が多く、同社の売り上げの大半を支えている。現在、同社の社員数は5人だが、月間50件以上の問い合わせがある状況だ。このため、Pleasanterの導入、サポートを行うパートナー網を拡充しており、SIerを中心にすでに13社を獲得している。
中堅・中小企業に顧客基盤を拡大する絶好の機会に
一方、ナレッジスイートはSFA、CRM、グループウェアなどのクラウド型統合ビジネスアプリケーション「KnowledgeSuite」を主力商材とし、中堅・中小企業を中心に4900社の導入実績がある。一見、顧客対象が違うようにみえる両社だが、どんな補完関係が成立するのか。稲葉社長は「当社は月に500社から問い合わせがあり、インバウンドでどんどん案件が出てくる状況。中小企業向けIT市場のリードの取り方は日本一だと自負している。ただ、失注もないわけではない。既存のパッケージ製品でカバーできない顧客ニーズにどう対応していくかが課題だった。その意味で、PleasanterはKnowledgeSuiteを完全に補完できる製品だったし、そのクオリティにも惚れ込んだ」と説明する。インプリム側にとっても、ナレッジスイートにPleasanterをOEM提供することで、中堅・中小企業に顧客基盤を拡大していくことができるという期待がある。中堅・中小企業向けのクラウドサービス版のPleasanterは、これから本格的にビジネスが立ち上がるフェーズだ。また、「当社の独立性を保ったうえで協業していける出資比率での提案だったことも魅力だった」(内田代表取締役)という。
ナレッジスイートは、Pleasanterをベースに独自の価値も付加し、Shelterとして今秋をめどにサービスインする予定だ。インプリムの内田代表取締役は「kintoneはチームの働き方にフォーカスしているのに比べて、Pleasanterはマネージャーに成果を上げさせることにフォーカスした機能群を備えている。会議をペーパーレスに、楽にすることにこだわっていて、現実的なニーズは大きいはず。(競合製品と比べて)操作性のレベルも含めてガラケーからスマートフォンに変わったくらいの衝撃があるはず」と、クラウドサービス版でもPleasanterの差異化ポイントは変わらないことを強調する。一方の稲葉社長は、「彼ら独自の成長を追求してもらったうえで、当社と組んで中堅・中小企業も攻めることで、あらゆる顧客にプロダクトの魅力を浸透させていくこともできる。まずは、kintoneやLightning Platformの競合として市場にみてもらえるようになれば、一つの目標を達成したといえる」とコメントしている。両社の協業により、3年で2000社への導入を目指す方針だ。
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