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ソフトバンクC&S 法人ドローンビジネスのプラットフォーマーへ 「DroneDeploy」の販売でパートナー巻き込む
2018/05/17 09:00
週刊BCN 2018年05月14日vol.1726掲載
唯一のライブマップ機能を搭載
DroneDeployは、ドローンの飛行と撮影をクラウドを通じて制御することができるサービスだ。目的に応じてエリアや撮影条件を設定すると、ドローンが自動で飛行して撮影を行う。日本展開に向けた協業で握手するドローンデプロイのマイク・ウィンCEO(写真左)と
ソフトバンク コマース&サービスの永谷博規ICT事業本部MD本部本部長
独自の機能として、撮影したデータをリアルタイムで地図化する「ライブマップ機能」を搭載。これによって、ドローンの着陸後にデータを取り込み地図化する従来の手間は不要となる。ウィンCEOは、「競合他社では、リアルタイムでデータを処理することができない」と自社の強みを強調。例えば、屋根の測量にライブマップ機能を活用したユーザーでは、従来比で作業効率を2倍に向上した事例があるという。ソフトバンクC&Sの加藤丈晴ICT事業本部MD本部ハードウェア統括部ドローンマーケティング室室長も、「この機能をみせただけで、導入の意向を示してくれる客様が数十社ある」とユーザーの反応を明かす。
また、DroneDeployでは、空撮データを用いた3D図面や植生指標データの作成、地表の標高計算といった加工・分析もアプリ上で行うことができる。すでに米国、欧州、アジアなどのグローバル約180か国・地域で同サービスは利用されており、顧客数は3万社、有償利用ユーザーも3000社を超える。ソフトバンクC&Sは、これを日本語化したバージョンとして販売していく。
ドローンサービスビジネスが急拡大
このタイミングで同社が法人向けドローンビジネスを強化するのは、市場の活性化が期待されるからだ。国土交通省は3月29日、「無人航空機の目視外及び第三者上空等での飛行に関する検討会」での検討内容を踏まえて、ドローンの目視外飛行に関する要件をまとめた。これまで国内では、原則として操縦者が目視できる範囲でしかドローンの飛行が認められなかったが、これを受けて今後は、飛行場所や高度などが一定の要件を満たせば、目視外でも飛行が可能となる。さらに、国土交通省航空局は4月2日、ドローン情報基盤システム(DIPS)を整備し、飛行許可申請を簡易化。これまでは、紙ベースで飛行目的や場所などの計画を一から記入したうえで、国土交通省に申請する必要があったが、今後はテンプレートの活用により、画面上の質問に答えるだけで申請書が自動作成され、ウェブ上で簡単に申請することができる。ドローン活用の障壁が大幅に下がるわけだ。加藤室長は、「産業向けのドローンビジネスが活発化する」と期待を込める。
実際、インプレス総合研究所の「ドローンビジネス調査報告書2018」によれば、2017年度の国内ドローンビジネス市場規模は前年比42%増の503億円で、18年度は前年比71%増の860億円、24年度には3711億円と、うなぎのぼりで拡大する見込みだ。ポイントは、増加する市場規模の大部分を、農薬散布や空撮、工事の進捗管理、土木測量などのサービスビジネスが占めること。サービスの市場規模は17年度は363億円と全体の42%だが、24年には約7倍の2530億円で全体の68.1%となる。ドローンの本体以上にビジネスチャンスは大きく、用途に応じた各種アプリケーションの需要も期待できる。
エコシステム構築の起爆剤に
DroneDeployは、こうしたドローン向けアプリケーションとの連携を最大の強みとしている。市場活性化に向けた起爆剤となり得るわけだ。APIを通じてアプリを開発することができ、同社が運営するMarket上での販売が可能。すでに、AutodeskやBoxなど、78種類のアプリを提供しており、ウィンCEOは「(他社と比べて)間違いなく突出しており、エコシステムをもっている唯一の会社だ」と豪語する。日本国内においては、ソフトバンクC&Sがこの役割を果たす。日本特有のアプリを拡充してエコシステムを発展させる。加藤室長は、「既存のチャネルなどを使いながら、顧客の要望に合わせて、こういうアプリをつくってくださいとパートナーのリクルーティング活動を進めていく」と方針を示す。
ソフトバンクC&Sは、従来、一次代理店としてDJI(大彊創新科技)などのドローン本体を扱っているほか、操作するための「iPad」や、通信サービス、周辺機器、情報総合サイトなどを提供しており、今回のDroneDeployが加わることで、より包括的なサービスを提供することができる。パートナーにとってのメリットも大きい。幅広い商材を扱えるだけでなく、DroneDeployを活用することで自社で開発するアプリの販路を広げられる。加藤室長は、「非常に手ごたえはよく、リセラーの関心が高い」と感触を示す。すでに、具体的な案件も進行している。
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