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日本ヒューレット・パッカードとDell EMC オンプレが従量課金モデルで巻き返し 脱クラウドの新たな担い手として注目
2018/03/29 09:00
週刊BCN 2018年03月26日vol.1720掲載
HPE、パートナー協業は手さぐり
日本HPEは2月15日にオンプレミス消費型サービス「HPE GreenLake」の提供を開始した。顧客のオンプレミス環境にITインフラやパッケージソリューション群を配置し、利用量に応じて課金するサービスだ。HPE以外の製品を薄価で買い取り、月額プランにすることもできる。さらに、キャパシティ管理に専任のアドバイザーがつく。ITインフラの上で動くパートナーのソリューションも含め、サポート窓口や支払先を一本化できる。HPEは、オンプレミス配置型のIaaSを従量課金モデルとして米国で7年前、日本では4年前から提供していた。それが「フレキシブルキャパシティ」だ。今回、それをブラッシュアップし、「HPE GreenLake フレックスキャパシティ」に変更。さらに顧客のワークロード種別ごとにプリパッケージしたエンド・トゥ・エンドのソリューション群「HPE GreenLakeソリューション」を追加した。
日本ヒューレット・パッカード
小川光由
執行役員
Pointnext事業統括
国内でスタートを切ったばかりのHPE GreenLakeだが、懸念が二点ある。一つは最低契約期間が3年と、やや長いことだ。IT市場の変化は速く、そのスピードも年を追うごとに加速している。3年の間にCPUはアップグレードし、新しいテクノロジーも誕生する。アップグレードや新しいソリューションのインストールなどは日本HPEがすべて請け負う。企業はITインフラの管理・運用をすべて任せることができる反面、自社の環境にITインフラがありながら触ることができない。
もう一つがパートナー戦略だ。従量課金モデルでのパートナー制度については「現在検討中」(小川執行役員)という。例えば、支払い方法は一度、日本HPEにまとめられ、そこから日本HPEがパートナーにソリューション料金として支払う形を想定しているという。小川執行役員は、「すべてHPEが巻き取ってしまうと感じるパートナーもいるはず。でもそうではない。パートナーと協業するビジネスモデルを考えていく」と話しており、この点は大きな課題といえる。
Dell、パートナーとの協業は多様
日本HPEよりも1年近く前に従量課金モデル「Dell Financial Services(DFS) Flex on Demand」「DFS Cloud Flex for HCI」をスタートさせたのがDell EMCだ。昨年の5月に米デルテクノロジーズが、従来の買い切りモデルに加えて、従量課金モデルを追加することを発表。日本市場でも取り組みを開始した。「DFS Flex on Demand」はストレージ全般、「DFS Cloud Flex for HCI」はHCIの「Dell EMC VxRail」「Dell EMC XCシリーズ」が対象となり、現時点ではサーバーは含まれていない。EMCジャパン
小川哲也
デルファイナンシャルサービス
日本・韓国地域ディレクター
実は、EMCは15年ほど前からストレージの従量課金サービスを提供しており、この長年のノウハウが生きている。例えば課金単位だ。ハイエンド・ストレージの「Symmetrix」はGB単位、スケールアウト型NASの「Isilon」はノード単位、HCIや今後追加予定のサーバーやCPUはVM単位、スイッチはポート単位で課金される。課金の単位は企業の運用に合わせて相談できるという。
もう一つ、ノウハウが生きている面がパートナーとの協調だ。15年前にストレージの従量課金サービスをスタートした頃からどうやって協調していくか、議論を重ねてきた。
「パートナーごとに独自のやり方、ビジネス形態がある。案件単位で枠組みや調達方法などを相談し、対応してきた。なかには製品を提供するだけのパートナー、システムや付加価値をつけたいパートナー、そもそも従量課金サービスは取り扱わないパートナーもいらっしゃる。多種多様な取り組みがあり、柔軟に対応している」と小川ディレクターは説明する。
クラウドの代わりになるか
今後、ITインフラは従量課金サービスに切り替わるのか。EMCの小川ディレクターは「従来通りの売り切りモデルはなくならない」と強調する。「将来の予測ができ、必要なリソースがわかっている基幹システムなどを従量課金サービスに移行する必要はない。それより従来型の方がコストメリットがある」と説明する。従量課金サービスの活用法としては、「デジタル革命を意識し、新しい事業に取り組んでいる企業は多い。新規事業でクラウドを利用している場合、事業が軌道に乗り、数年続けていくとなった時、コストを考えてオンプレミスに置きたいと考える企業もある。実際、クラウドからオンプレミスに戻る動きがある。また、オンプレミス環境に置きたいが、初期費用を考えてクラウドのような月額で支払いたいというニーズも今後高まっていくだろう。この受け皿が従量課金サービスだ」と小川ディレクターは説明する。今、クラウドへの移行を検討している企業のなかには、クラウドへはいかず、従量課金サービスに移行するケースも今後出てくるかもしれない。- 1