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Watson事業で新パートナー戦略――日本IBM
2017/10/19 09:00
週刊BCN 2017年10月16日vol.1698掲載
日本IBM(エリー・キーナン社長)は9月27日、Watson事業の新たなパートナー戦略を発表した。これまでソフトバンクに委ねていた販売の枠組みを拡げ、日本IBMのパートナーでもWatsonを扱えるようにした。国内での導入の拡大を目指し、新たな一手を打った背景には、「デリバリのリソースが非常にひっ迫している」との危機感がある。(廣瀬秀平)
日本IBM
三澤智光
取締役専務執行役員
IBMクラウド事業本部長
日本IBMは、2015年からソフトバンクとともにWatsonの展開を推進。コールセンターの問い合わせ業務やチャットボットを活用したマーケティング業務など、多くの企業や組織の業務を一緒に支援してきた。
なかでも大きかったのは、16年のWatson日本語版の販売開始だ。三澤本部長によると、最近の人工知能ブームも追い風となり、Watsonの需要は増加。17年春時点で200社以上が導入し、その後も導入が増えているという。
ただ、IT業界では、人材不足が深刻な問題で、日本IBMは「今のままでは、技術者やパートナーは圧倒的に足りなくなる」(三澤本部長)と危惧。自社のパートナー網も活用し、技術者の囲い込みなどを進めていくことを決めた。
三澤本部長とともに説明会に出席した日本IBMの吉崎敏文・執行役員ワトソン事業部長は、「昨年、ようやく市場が立ち上がった。ここでもう一つアクセルを踏んで、いろいろな形でWatsonを使ってもらえるようにしていきたい」と強調。両社が提供するソリューションをカタログにまとめ、10月11日からIBMクラウドで顧客に提供していくことを公表した。
カタログに掲載したソリューションは、Watsonの活用実績をもとに、コンサルティング/導入支援とフロントオフィス業務、バックオフィス業務と三つのカテゴリに分類。説明会開催時点では、日本IBMが扱う分が16、ソフトバンクの分が29の計45のソリューションがお披露目された。また、Watsonプロジェクトの提供やソリューションの開発を担うパートナー(9月現在)として、インテック、AIT、エス・アンド・アイ、NCS&A、シグマクシス、システム情報、情報技術開発、電通国際情報サービス、トランスコスモス、日本情報通信の計10社が紹介された。
吉崎事業部長は、「使いやすく高品質で、短期かつ安価に導入できる」とソリューションの特徴を示し、導入に必要な時間やコストは、今までの3分の2程度に抑制できるとした。また、幅広い規模の企業に導入してもらうため、低価格で利用できるベンチャー企業向けのパッケージを今回、初めて用意したと説明。パートナーの拡大にも力を入れるとした。
三澤本部長は、「ソリューションを届けるときに、すべて個別の見積もりでは、営業が間に合わない。パッケージ化することで、より多くの要求に応えられる。ここまでのメニューは、われわれしかつくれない。今回は第一弾の発表で、第二弾、第三弾を発表していく」と強調した。
さらに、「それぞれのパートナーが得意としている業種や業界がある。より早い段階で組み合わせられれば、多くのニーズに応えていける。パートナー連携をより加速させていくことで、機能や業界特価のエコシステムを充実できると思っている」と意気込みを語った。
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