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ソフトバンクC&S 日本市場の売り上げでVMware製品のアジア・太平洋No.1に
2017/07/20 09:00
週刊BCN 2017年07月17日vol.1686掲載
ソフトバンク コマース&サービス(ソフトバンクC&S、溝口泰雄社長)は、VMware製品の販売においてアジア・太平洋地域でNo.1を獲得した。昨年度(2017年3月期)の売り上げは、前年度と比べて1.5倍以上の成長を記録。多くの自治体による「インターネット分離」の案件があったことが要因だ。今年度は、自治体案件の激減が見込まれるが、「HCI(ハイパーコンバージドインフラ)」「VDI(仮想デスクトップインフラ)」をキーワードに2ケタ成長を目指す。(佐相彰彦)
「Regional Distributor of the Year」を受賞
ソフトバンクC&Sは、米ヴイエムウェアがパートナー企業を表彰するVMware Partner Innovation Awardにおいて、アジア・太平洋および日本における「Regional Distributor of the Year」を受賞した。ソフトバンクC&Sが、アジア・太平洋においてNo.1のディストリビュータになったことを意味する。経済発展の著しいアジア・太平洋のなかで、日本市場で勝負する同社の売り上げがNo.1というところに大きな意義がある。VMware Partner Innovation AwardでソフトバンクC&Sは
アジア・太平洋および日本の「Regional Distributor of the Year」を受賞
友 秀貴
ICT事業本部MD本部
プラットフォーム
販売推進統括部
統括部長
ソフトバンクC&Sが昨年度にVMware製品の販売が好調だったのは、総務省が提示する「自治体情報システム強靭性向上モデル」によって、多くの自治体による「インターネット分離」のニーズが高まったため。VDIによって、自治体の職員が端末上からインターネットに接続するにあたってセキュアな環境を提供した。友統括部長は、「特定の地域に限らず、全国のさまざまな自治体から引き合いがあった」とアピールする。
このほか、「ユーザー企業によるクラウドサービスの利用が増えているなかで、クラウドサービス事業者が基盤強化に向けて仮想環境を構築する案件も増えた」という。さらに、ネットワーク仮想化やストレージ仮想化などの導入機運も高まっていることも案件の増加を後押しした。
パッケージ提供を拡大、横展開へ
自治体の強靭性モデルに関しては、今年7月までに対応が完了していることから、今年度は自治体からの案件が激減することが見込まれる。しかし友統括部長は、「金融や教育機関、医療機関などからインターネット分離のニーズが出ている。そのため、ビジネス規模が今年度に大きく下がることはない」と説明する。また、2ケタ成長を果たすため、HCIとVMwareを組み合わせたアプライアンス製品を用意するなど、VMware製品をベースとしたパッケージ化を模索している。具体的に友統括部長は、「特定のハードウェアメーカーに依存せず、さまざまなHCI製品とVMware製品との組み合わせによるパッケージ化を目指す」という。各メーカーのHCIとの組み合わせを揃えれば、地方のリセラーの選択肢が増える。友統括部長は、「ディストリビュータとして簡単に売れる仕組みをつくることが重要だと捉えている」と話す。
また、「政府が『働き方改革』を掲げていることから、インターネット分離の切り口だけでなくVDIを導入する企業が増えるのではないか」と分析。とくに、サーバー仮想化製品で獲得したユーザー企業に対してVDIを提案。VMwareの信頼性の高さをアピールすることで案件を獲得する方針だ。「働き方改革という観点では、VDIだけでなく、生産性を高めるための製品やサービスも提案できる。販売パートナーにとっては、大きなチャンスとなるのではないか」とみている。
ディストリビュータとして多くの製品を取り扱い、グループ会社に通信事業者やクラウド事業者がいるだけに、VMware関連ビジネス一つをとっても、今後もさまざまな角度から拡大を図ることができる土台をもっている。友統括部長は、「売上規模の母数が増えている。昨年度のような成長率を達成できるかはわからないが、最低でも2ケタ成長は期待できる」と強気の見通しを貫く。実際、第1四半期(4~6月)は2ケタ成長を果たしている。とはいえ、自治体の需要が減るのは確実。そうした状況下でアジア・太平洋No.1を維持することができるのか。ソフトバンクC&Sの手腕が試される。
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