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デジタルアーツ 東日本パートナー総会2017

2017/06/29 09:00

週刊BCN 2017年06月26日vol.1683掲載

2017年度、60億円企業へ

 デジタルアーツ(道具登志夫社長)は6月2日、都内で「東日本パートナー総会2017」を開催した。同社は昨年度(17年3月期)の通期決算で過去最高の売上高を更新し、好調に事業を展開しているが、道具登志夫社長は「昨年を振り返ると、いろいろなところを見直さないといけない」と、反省の色を見せる。それを受けて打ち出す17年度の戦略では、新製品の提供や法改正への対応、自治体・公立小中学校・高校をターゲットとした製品展開とパートナー支援施策の強化を図る。道具社長は、「17年度、60億円企業になる」と、パートナーに向けて力強く語った。(取材・文/前田幸慧)

主力3製品の拡販で一層の成長を描く

●昨年度の反省を受けて打ち出す施策
 

道具登志夫
社長

 デジタルアーツの16年度通期決算は、売上高は前年比26.4%増の50億5800万円で過去最高を更新し、大幅な成長を遂げたことがうかがえる。しかし、冒頭に登壇した道具社長は、これについて一定の評価を示すものの、「反省の1年だった」と振り返る。

 昨年は、「自治体情報システム強靭性向上モデル」を背景に、とくに無害化機能を搭載したメールセキュリティソフト「m-FILTER」の新規導入で売り上げが大幅に伸長したが、道具社長によると、「想定していた半分の結果だった」。また、ウェブセキュリティソフト「i-FILTER」とファイル暗号化・追跡ソリューション「FinalCode」を含めた主力3製品の企業向け展開についても、売り上げは堅調に推移したが、「例年の半分くらいの成長」と反省ムードだった。

 17年度の注力分野として掲げたのは、新製品の投入による外部脅威対策市場への参入、電子帳簿保存法、改正個人情報保護法といった法改正に伴うニーズへの対応、自治体へのFinalCodeの拡販、公立小中学校・高校におけるWi-Fi整備計画への対応の4点。道具社長は、それぞれの施策について説明したのち、「今年は、ものづくり、マーケティング、営業をしっかりやっていく」と意気込みを示した。
 

萩野谷耕太郎
マーケティング部
m-FILTER課
課長

 17年度の製品戦略で目玉となるのが、i-FILTERとm-FILTERのバージョンアップだ。両製品の連携により、内部脅威に加えて、外部脅威への対策も可能になる。萩野谷耕太郎・マーケティング部m-FILTER課課長は、「m-FILTERを通して受信したメールは安全に、i-FILTERを通してアクセスしたウェブサイトは安全にということがコンセプトだ」と説明する。新バージョンは、今年9月19日に「標的型攻撃対策」製品としてリリース予定。デジタルアーツとしては、新製品の投入で、外部脅威対策市場に新規参入する。

遠藤宗正
マーケティング部
i-FILTER課
課長

 また、i-FILTERの製品戦略においては、総務省が推進する公立小中学校・高校のWi-Fi整備計画や持ち帰り学習への対応と、自治体の情報セキュリティ強靭化市場への拡販を強化する。自治体強靭化の投資は落ち着いたともみられるが、マーケティング部i-FILTER課の遠藤宗正課長はその意図について、「i-FILTERに関係するところで、昨年終了したのは自治体クラウドの部分。県庁用のプロキシや、市町村用プロキシの対策はまだ残っており、あわせて3億円ほどの市場がある。ここを狙っていきたい」と語る。

日置正之
マーケティング部
FinalCode課
課長

 続いて登壇したマーケティング部FinalCode課の日置正之課長は、FinalCodeの製品戦略を説明。昨年度は、大規模案件や自治体案件の獲得増とともに、機能を選択できる「FinalCode Express Edition」のリリースで、小・中規模案件の獲得が伸長。今年度は、ターゲットの拡大にも力を入れる方針で、対応アプリケーションをCAD系やデザイン系のファイルに増やすとともに、Mac対応版製品をデザイン系ファイルをよく利用する企業やグローバル展開する企業に向けて訴求していく。また、ストレージサービス「box」をはじめとする他のソリューションとの連携で拡販を図る。日置課長は、「今は内部の情報を守る製品としてメッセージを発信しているが、もともとは外部のやり取りを守ることに特化した製品。今後来る、外部とのやり取りを守りたいという波にもそのまま対応できる」と、FinalCodeの魅力をアピール。締めくくりには、各製品担当3名が揃って壇上に立ち、「五輪イヤーの2020年までに100億円企業となることが目標。パートナーの皆さまにもご支援いただきたい」と、参加者に協力を仰いだ。
●現状に適したパートナー制度へ
 

瀬川明宏
営業部
担当部長
パートナーチャネルセールス課
課長

 デジタルアーツは今年度から、営業部配下に「パートナーチャネルセールス課」を立ち上げた。その理由について、瀬川明宏・営業部担当部長 パートナーチャネルセールス課課長は、「これまでデジタルアーツは、i-FILTERの会社だった。しかし、現在はm-FILTERとFinalCodeの新規導入がけん引し、i-FILTERに頼らないかたちで売り上げが伸びている。一方で、7年前に立ち上げたパートナー(DABP:デジタルアーツビジネスパートナー)制度が現状に合わなくなってきているなどの課題がみえてきた」といい、同課の新設によって、「全国エリアでパートナー様への支援を強化し、売り上げを最大化する」と話す。今年度は、実績、ビジネスモデルなどに応じた制度への変更、営業・販売に関する支援内容の拡充、製品トレーニングのメニュー化などに取り組む。瀬川担当部長は、「18年度から新たなDABPを本格的にスタートさせる」と説明した。
 なお、当日は昨年度の同社ビジネスに大きく貢献したパートナー企業を表彰する「ビジネスパートナーアワード」も開催。プロダクトアワードでは、i-FILTERで富士通、m-FILTERで大塚商会、FinalCodeで富士ゼロックスが受賞。エリアアワードでは、北海道で中央コンピューターサービス、東北でソフトバンク・テクノロジー、関東で日立システムズが選出された。
 

プロダクトアワード
道具社長(左から2人目)と受賞した各社の代表者



エリアアワード
道具社長(左から2人目)と受賞した各社の代表者
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外部リンク

デジタルアーツ=http://www.daj.jp/