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米デルテクノロジーズ「Dell EMC World 2017」HCIが導くハイブリッドクラウドの必然
2017/05/25 09:00
週刊BCN 2017年05月22日vol.1678掲載
【ラスベガス発】米デルテクノロジーズ(マイケル・デル会長兼CEO)は、5月8日から11日までの4日間、米ラスベガスで、「Dell EMC World 2017」を開いた。デル会長兼CEOは、以前から、デジタル変革を支えるインフラはハイブリッドクラウドこそが最適解だと主張してきた。Dell EMC World 2017では、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)への注力方針を示すなど、その裏付けとなるような新製品・サービス、施策の発表が目立った印象だ。旧EMCの買収完了から8か月、同社が目指す方向がより鮮明になったといえよう。(本多和幸)
オンプレの“最新化”を象徴するHCI
デルテクノロジーズ
マイケル・デル
会長兼CEO
ヴイエムウェア
パット・ゲルシンガー
CEO
高まるヴイエムウェアの存在感
さらに、今回のDell EMC World 2017では、こうしたハイブリッドクラウド戦略のなかで、デルテクノロジーズがヴイエムウェアを傘下に抱えることの意義が、従来に増して高まっているという印象も残した。ゲルシンガーCEOは基調講演で、「すべてのインフラはハイパーコンバージドになる」という従来の主張をあらためて掲げ、仮想化技術をはじめとする同社技術とDell EMCのITインフラ製品の組み合わせが、そうした世界を切り開いていくとの見解を示した。
Dell EMC
デヴィッド・ゴールデン
プレジデント
また、ヴイエムウェアは、あらゆるデバイス、アプリケーション、クラウド(プライベートクラウド、各種パブリッククラウドを問わず)を、横串を通して一貫した展開モデル、セキュリティポリシー、ガバナンスのもとに運用するというビジョンを実現すべく、近年、具体的な製品を続々発表している。単にHCI向けに仮想化技術を提供するだけでなく、デルテクノロジーズのハイブリッドクラウド戦略における差異化ポイントを創出する役割を担っているともいえそうだ。
HCIやストレージについては、「クラウド的」(ゴールデン・プレジデント)と表現する、初期投資不要、従量課金制・月額払いの新たな導入モデルも発表した(ちなみにPCについても、本体とソフトウェア、サポートサービスなどをセットで月額料金制のサービスとして提供する「PC as a Service」をグローバルで展開することをあらためて発表した)。Dell EMC World 2017では、デル会長兼CEOをはじめ、登壇した多くの幹部から、「クラウドとは場所の話ではなく、運用モデルのこと」というコメントが聞かれた。ここでいう「クラウド的」とは、サービス化とも表現できるだろう。オンプレミス、プライベートクラウドのインフラもサービス化することで、イニシャルコストのハードルが下がり、ハイブリッドクラウドによるデジタル変革のための最適なインフラ構築に、より多くのユーザーが踏み出すことができるというわけだ。
ただし、この新しい導入モデルは、デルテクノロジーズとしてもどの程度市場ニーズがあるかは把握できていないという。チャネルパートナーのビジネスモデルにも大きな影響を与えることになる。グローバルでの状況はもちろん、日本市場にどのようなかたちで導入することになるのか、推移を注視したいところだ。
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