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コニカミノルタ ハードウェア依存から脱却しIoTとAIで働き方改革を推進 欧州発のITプラットフォーム「Workplace Hub」の提供を今秋から開始

2017/04/06 09:00

週刊BCN 2017年04月03日vol.1672掲載

【ベルリン発】コニカミノルタ(山名昌衛社長)は3月23日、ITプラットフォーム「Workplace Hub」のコンセプトとハードウェアを発表した。Workplace Hubは、ハードウェア事業を中心としてきたコニカミノルタが、ハードウェア依存から脱却を図るための第一弾となるソリューション。IoTやAIの活用、APIによる業務システムとの連携、インフラ管理機能などにより、企業内のあらゆる情報のハブとして働き方改革を実現する。2017年秋に世界同時の提供開始を予定している。(畔上文昭)

脱ハードとなるハードを発表

 Workplace Hubは、サーバー型のハードウェアを中心に、オフィスのITインフラやビジネス関連の情報を集中的に管理し、業務の効率化を実現するためのITプラットフォームの総称である。キーワードは「働き方改革」。ハードウェアが中心ではなく、ソリューションの提供に注力することを意味している。ハードウェアベンダーからソリューションベンダーへ。これまでの業態を変えるコニカミノルタの社運を賭けたチャレンジとなる。
 

 「ハードウェアはコモディティ化が進む。性能をアピールするだけでは、これから先を勝ち抜いていくことは難しい。複合機という情報が集中するハードウェアを扱ってきた当社にできる事は何かと考えた結果、出した答えがWorkplace Hubだ」と、山名社長が開発の経緯を語った。

 では、Workplace Hubで具体的に何を実現するのか。メインとなるのは、ユーザーが利用するダッシュボードの役割を担う画面。そこでは電子メールやチャット、SNSといったコミュニケーション関連の情報、ERPやCRMといった企業システムの情報、ネットワークやデバイスの状況などが表示され、ビジネスに必要な情報の一元的な利用と管理ができる。情報はAI(人工知能)で分析され、重要なものをトップに表示するなど、効率的な業務遂行をサポートする。ネットワーク上のデバイスは、IoT技術を活用して情報を収集。故障予測やインクなどの消耗品の交換時期などについても、AIを活用して効率的な運用を実現する。また、効率的な共有を実現するファイルサーバーの機能も備える。
 

Workplace Hubのハードウェア群。複合機タイプと単独のサーバータイプを用意

 つまり、Workplace Hubは企業のあらゆる情報のハブとなり、従業員の作業効率を上げることを目的としたソリューションである。

 あくまでもソリューションが主役だが、専用のハードウェアは必須だ。そのハードウェアには、複合機タイプと単独のサーバータイプを用意。サーバータイプにはラックマウントタイプと小型サーバータイプがある。LinuxベースのOSを採用していて、設計を日本国内のコニカミノルタが担当し、製造はヒューレット・パッカード エンタープライズ(HPE)が担う。

 Workplace Hubを支えるソフトウェアの設計と開発は、コニカミノルタの欧州部門が担当。なかでも開発はAIの先進国として知られるチェコで行われている。

欧州の働き方改革がベース

 Workplace Hubは、山名社長の原案を欧州で具現化したという経緯から、“働き方改革”を実現するソリューションといっても、日本のそれとはニュアンスが若干違う。欧州ではプライベートと仕事の切り分けが確立しているため、日本のように労働時間の短縮を目的とするのではなく、効率的に成果を上げることを重視している。それには、社内に散乱する情報を集約し、活用しやすいかたちで提供することが有効であるというのが、コニカミノルタの答えである。

 ではなぜ、欧州なのか。理由は、欧州の複合機市場でトップクラスのシェアを保有しているため。なかでもドイツではトップのシェアになっているという。

 Workplace Hubのハードウェアで複合機タイプを用意しているのは、まずは同社の複合機ユーザーをターゲットに売り込むことを想定しているため。既存のパートナー企業を考慮し、売りやすいソリューションにしたというわけだ。

 とはいえ、働き方改革を推進するソリューションベンダーへの変革を目指すコニカミノルタとしては、複合機の守備範囲を越えた展開を狙う。Workplace Hubのハードウェアにおいて、複合機タイプと単独のサーバータイプを用意しているのは、そのためだ。同社の複合機ユーザー以外には、サーバータイプを提案する。同時に、新たなパートナー戦略も打ち出していく考えだ。

 Workplace Hubは、複合機で培った経験を生かし、販売ではなく、サブスクリプションモデルで提供する。運用管理についても、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)として、コニカミノルタで請け負うことを想定している。

 まずは、ブランド力のある欧州市場を主戦場とするとみられるが、今年秋には全世界同時での提供開始を予定。また、4月に国内でWorkplace Hub事業部が設立される。日本国内の複合機市場では、シェアが小さいだけに、そこをどう乗り越えるのか。企業のあらゆる情報を一元管理するという影響力の大きいIT投資となるため、パートナー戦略が国内での成功のカギを握ることになりそうだ。
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外部リンク

コニカミノルタ=http://www.konicaminolta.jp/