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TISの決済ビジネス サービス化ですそ野を広げるデビットではシェア3割を獲得へ
2017/03/16 09:00
週刊BCN 2017年03月13日vol.1669掲載
左からTISの高島 玲副部長、生宗 潤常務、鈴木翔一朗主査
スマートフォンを使ったモバイル決済やFinTech系の便利なサービスに注目が集まるなか、国内でも非現金決済が一段と広まることが期待されている。決済システムの構築を得意とするTISは、こうした市場動向にいち早く着目し、「より多くのユーザーに決済システムを利用してもらえるようカード決済のサービス化」(TISの生宗潤・常務執行役員ペイメントビジネス事業本部長)を推し進めている。
TISは、SIで培ったソフトウェア部品やノウハウを体系化した「PAYCIERGE(ペイシェルジュ)」のブランドのもと、まずはデビットとプリペイドの決済システムを継続課金によるサービス方式を選択できるよう開発してきた。今回、クレジットについても早い段階でサービス方式でも利用できるよう整備していく。狙いは、各種カード決済のサービス化によってシステム利用のハードルを下げることで、これまでカード決済を導入していなかった業種・業態、自治体などに利用してもらうことだ。
クレジットは、多くの小売り・サービス業のユーザーが、ポイント還元やマーケティング、顧客の囲い込みで活用している。システムの更改のタイミングで、保守運用の手間の必要がないサービス方式に切り替えてもらったり、TISの仕組みを利用しているカード会社が小売業向けにクレジット決済サービスを提供する“間接販売”チャネルの開拓にも力を入れる。もちろん導入時のハードルを下げることで、「新規ユーザーの開拓にもつなげていく」(高島玲・ペイメントソリューション企画部副部長)考えだ。就労人口の減少に伴い与信が必要なクレジットカードの発行枚数は頭打ちになりつつあるが、ユーザー数を増やすことでビジネスを伸ばす。
先行してサービス化対応を済ませたデビット決済は、地銀やネット系銀行からの引き合いが強く、向こう1年で累計30銀行から受注を獲得する見込みで、地銀を母数としたシェアでは本紙推計で約3割に達する見通し。「デビット決済は、予想を上回る引き合いで、ビジネスとしてはほぼ合格点」(生宗常務)と手応えを感じている。また、客先設置型の個別SIで対応していてはTIS側の人的リソースの限界もあり、「とてもこれだけの案件はこなせなかった」(鈴木翔一朗・ペイメントソリューション第1部主査)と、サービス化がいち早くシェアを獲得できた要因だと話す。
プリペイド決済は、さらに幅広い業種・業態がターゲットとなり、小売り・サービス業のみならず、自治体の公的扶助に活用するニーズもある。TISは、他にも外部のFinTech系のサービスとAPIエコノミーを形成。銀行の基幹システムとAPIでつないで、さまざまなサービスを提供するバンキング・アズ・ア・サービス(BaaS)の領域も支援していくなど、ユーザーニーズにすばやく対応していく。
TISでは、こうした総合的な決済サービスの取り組みによって2020年までに年間100億円規模のストックビジネスを創出していく方針だ。
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