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デルとEMCジャパン さあ、“ワン・カンパニー”でシェア倍増 機能統合を完了しパートナープログラムも統一
2017/03/16 09:00
週刊BCN 2017年03月13日vol.1669掲載
顧客、パートナーの窓口を一本化
米デルテクノロジーズが正式に発足したのは2016年9月だが、米本国以外の旧デル、旧EMCの現地法人は、それぞれの市場の状況に合わせて統合のプロセスを進めてきた。日本法人も、法人格の統合は「もう少し時間をかけて進める」(デル・平手社長)としているが、まずは機能統合を優先し、日本市場でも早急に新たな企業グループとしてのシナジーを創出しようとしている。両社は2月1日、メディア向けに事業戦略説明会を開き、機能統合の概要を明らかにした。平手社長は、「両社のITインフラ、ファシリティの共有・統合から始まり、製品ポートフォリオやパートナー制度、売り上げ・利益管理、インセンティブや人事評価制度、決算なども5か月かけて統合してきた。従来、EMCは12月末が決算月だったが、今年から1月末のデルテクノロジーズに決算月を合わせ、2月1日を新年度として、“ワンカンパニー”として始動した」と説明する。さらに、両社の組織も統合し、「例えばパートナー事業部は完全に統合して一つのチームにしている。お客様、パートナーの窓口は一本化している」(平手社長)という。
一方で、ワンカンパニーの戦略のもとで動く個別、特定の製品分野ごとのスペシャリティ営業・SE部隊も組織し、重複しないかたちでデル、EMCジャパン、それぞれの担当領域も決めた(左下写真)。デルが大手法人、官公庁、地域、コンシューマ、チャネルパートナーを、EMCジャパンが業種別大手法人、グローバル企業、アライアンス、OEM事業を担当する。製品分野としては、デルがサーバー、ネットワーク、クライアントPC、ワークステーションを、EMCジャパンがストレージ、データ保護、SDS、RSAの事業、バーチャストリームの事業を担当する。コンバージド・インフラストラクチャは両社共通の担当領域となる。法人格の統合はまだ先になることから、一応は法人ごとの管掌を決める必要があったということのようだが、平手社長は、「エンド・トゥ・エンドの幅広い製品群、ソリューションをワンカンパニーとして提供していくことに変わりはない。人材も一体的に運用しており、組織統合に伴って、従来のデルのチームにEMCジャパンからリーダーが来て、その上司はデル所属だったりというケースも出てきたし、もちろんその逆もある」と強調する。
デルとEMCジャパンの担当領域
また、EMCジャパンの大塚社長は、両社の機能統合により、「国内IT市場におけるシェア倍増を目指す」方針を示した。ワンカンパニーになることで、製品ポートフォリオも顧客のカバレッジも拡大することから、そのシナジーにより、「われわれの製品のシェアを海外主要国と同じ水準まで引き上げたい」(大塚社長)という。デルの平手社長によれば、「海外市場でのサーバーシェアは約20%だが、日本は10%程度。ストレージも海外市場が約35%であるのに対して、日本は15%ほど」であり、日本市場での事業拡大の余地は大いにあるという見方だ。
デルの平手智行社長(右)とEMCジャパンの大塚俊彦社長
シェア倍増に向けた具体的な戦略としては、コンサルティングやハイタッチ営業の大幅な強化とともに、SIer、リセラーとのパートナーシップ拡大による付加価値提供が可能な販路網の全国的な強化、先進顧客などとの共創推進を挙げている。
大手ディスティ3社との協業強化
EMCジャパン
渡部洋史
執行役員パートナー
営業本部本部長
パートナー戦略の責任者である渡部洋史・EMCジャパン執行役員パートナー営業本部本部長は、「新しい統一のパートナープログラムが、3月にはスタートする見込み。われわれは両社グループとも直販が強い会社だったが、パートナープログラムにグローバルレベルで力を入れていくことをあらためて明確にした」と説明する。旧デル、旧EMCの製品を一体的に提供、サポートする体制が整ったことで、パートナーのビジネスの幅も確実に広がるという。
また、全国的なカバレッジの強化という点では、「大手ディストリビュータとの協業強化がポイントになる」(渡部執行役員)としている。両社とも協業してきたソフトバンク コマース&サービス、旧デルが協業してきたダイワボウ情報システム、旧EMCが協業してきたネットワールドの3社と関係を深め、彼らにとっての新たなビジネスの機会を創出していくことで、両社の統合された製品ポートフォリオをユーザーに届ける強固なリセラー網を全国に整備したい考えだ。
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