【カリフォルニア発】米シトリックス・システムズ(米シトリックス)は、中堅企業を顧客対象としたミッドマーケットの開拓に本腰を入れ始めた。現在、ワールドワイドでクラウドベースの管理ツール「Citrix Cloud」を前面に押し出すことでクラウドビジネスの拡大を図ろうとしている。また、ハイブリッド環境が継続するとの見方からアプライアンスの拡販を強化するプログラムの提供も開始した。日本では、とくに地方を攻めることでSMB(中堅・中小企業)を新規顧客として獲得していく。(佐相彰彦)
米国・アナハイムで1月9日~11日の3日間に渡って開催した「Citrix Summit 2017」で、米シトリックスは2017年の戦略を発表した。アプリケーションやデータのデリバリ、ネットワークに力を入れるほか、サイバーセキュリティに対応した製品・サービスを提供。それらにクラウドを絡めてビジネスを手がけていくことを打ち出している。また、オンプレミス型システムが残るという点で、HCI(ハイパーコンバージドインフラ)にフォーカスして、新たなパートナープログラム「Citrix Ready HCI Workspace Appliance Program」の提供を開始した。すでに米HPE(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)がプログラムに参加したことを今回のイベントで発表した。
スタニミラ・コレヴァ
バイスプレジデント
「クラウドを絡める」というのは、企業の規模に限らずニーズが高まっているため。米シトリックスでもエンタープライズ(大企業)向けビジネスの拡大にクラウドを念頭に置いている。ただ、「当社は、ミッドマーケットでもシェアを拡大しようとしている。そのマーケットで新規顧客を開拓していくにはクラウドを絡めることが最適と判断している」と、アジア太平洋&日本のセールスやサービスを担当するスタニミラ・コレヴァ・バイスプレジデントは説明。北米や欧州でクラウドを切り口にビジネスが拡大しており、新興国の多いアジア太平洋でも需要が急増するという期待がある。
パンカジ・ナラヤン
バイスプレジデント
クラウドビジネスの拡大に向けてカギを握るのが、クラウド事業者とのパートナーシップの深耕だ。現段階では、「Microsoft Azure」をもつマイクロソフトとの連携を強化している。17年第1四半期中に、「XenDesktop Essentials for Azure」「XenApp Essentials for Azure」の提供を開始。アジア太平洋&日本のパートナービジネスを担当するパンカジ・ナラヤン ・バイスプレジデントは、「今後も、マイクロソフトとのパートナーシップをさらに深めていくが、ほかのクラウド事業者とのアライアンスも検討していきたい」との考えを示している。
アジア太平洋&日本のなかで、売上比率が高いのは日本とオーストラリアだが、「オーストラリアでクラウドが広がっている一方、日本はこれから」とコレヴァ・バイスプレジデントは訴える。そのため、「日本は、首都圏を中心に展開してきたが、クラウドを絡めることでSMBでも導入しやすくなるため、地方でも新規顧客を開拓できるのではないか」(ナラヤン ・バイスプレジデント)と捉えている。米シトリックスでは、Microsoft Azureを切り口としたクラウドとHCIをベースとしたアプライアンスによって、地方で有力なSIerとのパートナーシップの確立を目指す。