252作品のなかから選ばれた16作品――。10月2日、U-22プログラミング・コンテスト実行委員会が主催し、経済産業省などが後援する「U-22プログラミング・コンテスト2016」の最終審査会が東京の秋葉原UDXで開催された。BCN ITジュニア賞のノミネート対象である経済産業大臣賞で、小学生と中学生という若い才能が開花した。
史上最多の応募作品のなかから選ばれたファイナリスト

参加者を激励する
青野実行委員長 U-22プログラミング・コンテストは、アイデアに富んだイノベーティブな人材発掘と育成を目的とするコンテストで、1980年から経済産業省が主催してきた。2014年からは応募対象者を22歳以下に拡大し、一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)の会員企業のなかでコンテストの趣旨に賛同する企業で構成する実行委員会が主催している。
今年は史上最多となる770人、252作品の応募があり、盛り上がりをみせていた。事前審査で41作品に、一次審査で16作品にまで絞り込み、最終審査会では、審査員の前で児童・生徒・学生がプレゼンテーションを披露。審査員からの質問にはきはきと答えた。
最終審査会の冒頭、実行委員長を務めるサイボウズの青野慶久社長は、「2015年の最終審査は小学生、中学生がすごいレベルのプレゼンをして非常に盛り上がった。今回はもっとたくさんの人に見てもらおうと、ニコニコ動画生放送で中継する。252作品のなかの16作品、つまりたった6%に選ばれた作品を生み出した皆さんだから、自信をもって元気よく発表してほしい」と激励した。

生活のなかから着想を得て問題解決に取り組む
16作品のプレゼンテーションが終わり、実行委員・審査委員による厳正な審査の結果、4組の経済産業大臣賞が決定した。

経済産業大臣賞総合に選ばれたチーム・藤原重工の荏原駿さん
経済産業大臣賞アイデアに選ばれたのは、東京学芸大学附属竹早小学校4年生の二ノ方理仁さんのアプリ『Worknote - Organize your Brain』。二ノ方さんは、「したいこと、中断してしまっていることがたくさんあって、何をどこまでしたか考えると頭がごちゃごちゃになる」とアプリ開発のきっかけを説明。そんな日々のなかでひらめいたのが、作業の整理整頓ツールだったという。作業記録をつけ、整理し、記録した中断作業の続きを実行することで、作業を効率よくこなすことができる。
経済産業大臣賞プロダクトは、ぐんま国際アカデミー中等部7年生(中学1年)の青山柊太朗さんのアプリ『わたしのお薬』。夏休みに米シリコンバレーのプログラミング講座「Make School」に3週間通い、英語で行われる授業を受けて、プログラミングの基礎を学んだという。

経済産業大臣賞プロダクトに選ばれたぐんま国際アカデミー中等部の青山柊太朗さん
『わたしのお薬』は毎日4種類もの薬を飲む祖父のために開発した薬の飲み忘れを防止するアプリだ。高齢者が薬を飲まない理由を洗い出し、機能やインターフェースを工夫した。9月中旬のコンテスト一次審査後、さらにブラッシュアップを重ねて、デザインを親しみやすいものに変更したという。
専門学校生の高い技術力 独自OSと3Dアクションゲーム
経済産業大臣賞テクノロジーに選ばれたのは、HAL東京の斎藤鴻さんの自作OS『WARos(ウォー・オーエス)』。ゲームやスマートフォン向けアプリの応募が多いなかで、独自のOSで応募した。『WARos』はIoTに最適なOSで、組み込み環境に応じて、必要な機能だけを搭載。不要な機能を落とすことで、ネットワーク経由で攻撃されるリスクを減らし、また高速起動ができるなどの利点もある。

経済産業大臣賞テクノロジーに選ばれたHAL東京の斎藤鴻さん
経済産業大臣賞総合に選ばれたのは、ECCコンピュータ専門学校のチーム・藤原重工のゲーム作品『Project Stinger』。3DアクションRPGで、モーションの動きを滑らかにする技術を搭載し、カクカクした動きがない。また、ウェポンチェンジやコアメモリのシステムなども完成度が高く、ニコニコ生放送の視聴者から最も高い支持を受けて、Best Viewers賞も受賞した。
経済産業大臣賞に輝いた4チーム/個人は、来年1月20日に開催されるBCN ITジュニア賞2017の受賞者としてノミネートされる。