オートバイ専門誌の発行や関連商材のネット通販を手がけるバイクブロス(渡邉潤社長)は、マーケティング自動化ツールを採用した。バイクブロスに最適化されたマーケティングのデータ管理プラットフォーム(DMP)を活用することで、ユーザー個々の趣味嗜好に深く入り込んだマーケティングを可能にするためだ。オートバイ市場は成熟度が高く、趣味性が強い。従来型のユーザー動向全体を俯瞰的につかむ方法では、ユーザーニーズを掘り下げることが難しという課題があった。
【今回の事例内容】
<導入企業>バイクブロスバイクブロスは約14種類のオートバイ専門雑誌を発行するとともに、バイクの部品や用品のネット通販などを手がけている
<決断した人>清水智義ゼネラルマネージャー(左)と安東健マネージャー
マーケティング全般を担当。愛車は清水氏が英トライアンフのクラシックバイク「Bonneville T100」、安東氏がカワサキのオフロードバイク「KLX250」
<課題>成熟市場で趣味性が強く、ユーザーの嗜好が細分化したオートバイ市場では、ユーザー個々の動向を深く掘り下げる必要があった
<対策>アクティブコアのマーケティング自動化ツール「プライベートDMP」で、個々のユーザーを分析
<効果>従来のマクロ的なアプローチではみえてこなかったユーザー個々の趣味嗜好をマーケティング活動に生かすことができるようになった
<今回の事例から学ぶポイント>取得可能なデータを無駄にせず、統合的に分析することで売り上げや利益の増大につなげられる
マクロ的なアプローチに限界
バイクブロスはオートバイ専門誌およそ14雑誌を発行し、部品や用品などの関連商材のネット通販を手がけている。親会社のプロトコーポレーションは、新車・中古バイク情報サイト「GooBike(グーバイク)」などを運営している。雑誌・関連商材を手がけるバイクブロスとオートバイ本体の情報流通をメインとするプロトコーポレーションは、お互いのユーザー情報を共有することで、「オートバイユーザーに包括的なアプローチが可能なマーケティング力」(バイクブロスの清水智義・事業推進本部ゼネラルマネージャー)を強みとしている。
だが、成熟度の高い国内オートバイ市場では、従来のマクロ的なアプローチでは限界があるのも事実。限られたユーザーの趣味嗜好に深く入り込んだマーケティング手法が求められていた。そこで導入を決めたのがアクティブコアの「プライベートDMP」である。バイクブロスのマーケティング業務に最適化したデータ管理プラットフォーム(DMP)の役割を果たす。これによって、「個々のユーザーの動向を詳しく追跡することが可能になり、マーケティングの精度が飛躍的に高まった」(バイクブロスの安東健・事業推進本部システム開発部マネージャー)と話す。

バイクブロスが手がけるオートバイ専門雑誌の数々 例えば、プライベートDMPの導入前は、閲覧数(ページビュー)の多いウェブページはわかっても、どのような属性のユーザーが、どういった経緯でそのページにアクセスしたかといった個々のユーザーの背景までは、十分につかみ切れていなかった。現代の日本でのオートバイの位置づけは、「移動の手段」ではなく「趣味嗜好」で乗っているケースが大半で、むしろそうしたユーザーのほうが、バイクブロスが発行するバイク専門誌を購読したり、より多くの部品や用品を購入する意欲が強い。趣味にお金を費やすパターンだ。
広いデータ取り込み範囲に苦心

アクティブコア
安藤洋介
課長 バイクブロスは、もともと電子メールマガジンによる販促活動に力を入れており、自前で構築したメールマーケティングの管理ツールを使っていた。しかし、個々のユーザーの嗜好を反映したものではないため、どうしても最大公約数的なアプローチになってしまう。これでは、細分化したオートバイの趣味嗜好に合致した緻密なマーケティングは難しい。そこで、データにもとづくマーケティング基盤システムを探していたところ、アクティブコアが開催していたプライベートDMPのセミナーがあり、聴講したのが導入のきっかけとなった。
アクティブコアにプライベートDMPの発注を決めたのが2014年夏頃で、約3か月後の10月に本稼働させている。第一段階としてネット通販まわりのデータの取り込みから始め、第二段階として専門雑誌の読者まわりのデータを入力した。バイクブロスの案件を担当したアクティブコアの安藤洋介・コンサルティング部課長は、「データの取り組み範囲がとても広い点で苦心した」ものの、プライベートDMPの分析結果をもとに、ユーザーの興味から類推して、メールマガジンの内容をユーザーごとに変えるなど、従来はできなかったマーケティング施策が打てるようになった。
一口にオートバイといっても、オンロード、オフロード、ツーリングやハーレーダビッドソンをはじめとするアメリカン、カスタムバイク、チューンナップ用の専門パーツなど、さまざまなジャンルに分かれる。バイクブロスは、こうした多様な趣味嗜好に対応するかたちで、およそ14もの専門雑誌を発行したり、雑誌専用のウェブページを開設し、用品や部品のネット通販も手がける。
プライベートDMPは、ログインしたユーザーがウェブページのどの商品を見たり、バイク専門誌のどの記事を読んだかなどのデータを蓄積することで、個々のユーザーごとに最適なアプローチ方法を導き出す。今後は、ユーザーの愛車情報や各種イベント、コミュニティの参加状況など、ライダーとしてのライフサイクル全体をカバーするプライベートDMPに発展させていくことで、「マーケティング効果を大幅に高めていく」(清水ゼネラルマネージャー)方針を示している。(安藤章司)