週刊BCNは9月18日、「必ず役立つ! システム開発の革新的ツール ~コード解析で生産性と品質の向上を両立!!~」と題し、SIer向けのセミナーを大阪・梅田のヒルトンプラザ・ウエストにおいて開催した。協賛はオージス総研、後援がITコーディネータ協会。セミナーは大いに盛り上がり、最後のQ&Aセッションでは、現場で抱えている問題の解決方法などの質問が出るなど、コード解析ツールに対する関心の高さをうかがうことができた。(取材・文/畔上文昭)

パネルディスカッションでは、講演者の山下氏と吉井氏に加え、理想科学工業 開発本部 P&Dセンター SA開発部 次長の金田博高氏(左)、オージス総研 サービス事業本部 グローバルプロダクト部部長の細谷竜一氏(右から二番目)が参加した開発プロジェクトにおける“成功”の定義が変わった

独立行政法人
情報処理推進機構 技術本部
ソフトウェア高信頼化センター システムグループ
グループリーダー
山下博之氏 基調講演は、「拡がるIT、ふくらむ期待と増す責任 ~多視点のデータから現状と課題を探る~」と題し、独立行政法人情報処理推進機構 技術本部 ソフトウェア高信頼化センター システムグループ グループリーダーの山下博之氏が登壇。山下氏は、ITプロジェクトの“成功”の定義が変わってきていると指摘。「以前は納期を守ることを重視していたが、現在では顧客にとっての価値や満足に変わった」という。そのなかで品質を確保するにはテストの効率化が重要となる。
ところが、山下氏によると「73%が開発の現場でテストツールを使っていない」との調査データがあるという。とくにアジャイル開発の場合は、テストを繰り返し実施するので、ツールを活用するかどうかで、開発工数が大きく異なってくる。そのため、テストツールを有効活用することの重要性を説明した。
本来のテスト工数はバグつぶしではない

オージス総研
サービス事業本部
グローバルプロダクト部
リーダー 吉井雅人氏 セッション1では、オージス総研 サービス事業本部 グローバルプロダクト部 リーダーの吉井雅人氏。「大規模ソフトウェア開発を支援する最新世代の静的解析ツールの使いどころ」をテーマに、同社が提供する静的解析ツール「Coverity」とオープンソースライセンス管理「Palamida」を紹介した。
Coverityのミッションは、バグをつぶすことにある。「開発の早い段階でバグをつぶせるので、テスト工数では仕様通りになっているかどうかなど、本体のテストに専念できる」と吉井氏はCoverityを活用することのメリットを訴える。また、これまでの静的解析ツールについて「多くの解析結果が出て使いにくかった」と指摘。Coverityはバグのみを検出することで、開発者に高い評価を得ているという。Palamidaは、オープンソースソフトウェア(OSS)で起こりがちなライセンス違反を検出するほか、数行のコピーでもどのOSSかを判断できるため、ぜい弱性などの問題も把握できるという。
Coverityなら効果が実感できる

理想科学工業
開発本部 P&Dセンター
SA開発部 3G
野沢亜希子氏 セッション2では、Coverityのユーザーである理想科学工業 開発本部 P&Dセンター SA開発部 3Gの野沢亜希子氏が登壇。Coverityの導入経緯やメリットを紹介したほか、開発現場で使ってもらうようになるまでの奮闘体験などについて語った。
当初は「テストツールは導入しただけでは使ってもらえない。ログインすらしない」状況だったという。そこで勉強会を実施したり、無理やり使わせたりした。結果、「Coverityは効果が実感できたこともあって、活用されるようになった」と野沢氏。今後も、みんなが笑顔で仕事ができるように推進活動を続けていくと語り話を締めくくった。
最後のパネルディスカッションでは、パネリストに講演者の山下氏と吉井氏に加え、理想科学工業 開発本部 P&Dセンター SA開発部 次長の金田博高氏、オージス総研 サービス事業本部 グローバルプロダクト部部長の細谷竜一氏を迎えた。開発現場での課題やシステムの品質向上などについて議論が白熱した。
なお、10月2日には同じテーマのセミナーを東京・神田のBCNアカデミールームで午前・午後の2回開催。2回ともセミナー参加者からの積極的な質問が出たり、デモコーナーで熱心に質問するなど、Coverityに対する関心の高さをうかがうことができた。