業務上の規則や条件、判断基準、経験的な対処パターンをビジネスルールとして定義・登録し、その組み合わせから複雑な業務判断を自動的に行うシステムとして、「BRMS(ビジネスルール管理システム)」がある。まだ日本市場では浸透しているというわけではないが、制度の変更などによって迅速にシステムをリプレースせざるを得ない場合、コストをかけずにリプレースを実現することができる点で、注目を集めつつあるのは確かだ。そのため、BRMSを謳う製品・サービスを提供するベンダーが増えつつあり、そのうちの一社であるアシストは、「Progress Corticon」のマスターディストリビュータとして、ビジネスルールを可視化することによる開発の簡易化のメリットを訴えながら、BRMSの普及に本格的に踏み出している。(取材・文/佐相彰彦)

佐藤彰広
課長開発に費やす作業を90%削減
Progress Corticonは、追加/変更したビジネスルールを迅速にシステム展開が可能。例えば、競合他社の料金プラン変更に追随する場合、それをシステムに反映しなければならない。また、社内で組織変更があった場合、組織別配賦が変わって、それをシステムに反映する処理が非常に面倒となる。Progress Corticonを使えば、システム開発や変更を大幅に削減。開発や変更に費やされる作業時間を、導入前と比べて90%も短縮する例も出ているほどだ。また、BRMS導入の費用対効果を明確化して投資判断にも役立つ。
佐藤彰広・情報基盤事業部プログレス推進部課長は、「産業や業務を問わず、さまざまな領域で適用でき、システム開発の生産性と保守性が向上する。とくに、ビジネススピードが速くて頻繁にビジネスルールの変更が発生するような業務システムやサービスには、Progress Corticonが適しているといえる。開発効率・保守効率を大幅に向上させることができるのが強み」と説明する。
アシストでは、2013年11月に提供を開始。14年から本格的に販売にアプローチをかけた。14年9月にバージョンアップしたことに加え、10月にはスモールスタートで簡単導入が可能な「Progress Corticon Try & Buy スタートアップ・パック」の提供を開始した。12月には、タブレット端末向け電子フォームシシステム「e.Form」と組み合わせてペーパーレス化機能が加わった「TEGARU」の提供を開始した。
これらの製品強化によって、今では金融や保険などの業界で導入が相次いでいる。佐藤課長は、「ユーザーの多くが大企業で、Progressビジネスは計画を上回っている状況」とアピールする。
BRMSを知ってもらうことがカギ
アシストでは、Progress Corticonで獲得したユーザー企業の多くが直販で獲得したケースだという。これは、日本市場でBRMSが浸透していないことが大きな原因だ。佐藤課長は、「日本ではシステム部門が、ビジネスルールを策定するという流れが少ない。米国ではユーザー企業のほとんどでCIOなどが存在して、システム構築の効率化をはじめとして、システム側からビジネスルールを可視化することによる新規事業の創造などを担うため、BRMSが浸透しつつある。日本はこれからの市場」としている。実際、ユーザー企業の多くは、営業部門が自然言語・社内用語で業務を把握しており、システム部門は説明されても完全には理解できない。そのため、システム部門が営業部門の要求をプログラムに置き換えることができても、実際に営業を経験していないことから、詳細までは理解しきれていない。システム開発においては、ビジネスルールの実装が最後までわからないというケースが多いのだ。そこに着目し、アシストでは「開発過程で、あらかじめビジネスルールを分離させて、業務用語で可視化することを提案している」という。ユーザー企業に対してコンサルティングを実施しながらProgress Corticonの導入につなげているのだ。
現在では直販比率が高いものの、徐々にではあるが、Progress Corticonを理解して拡販に力を入れている販社も出てきている。「販社を増やすことで、Progress Corticonのユーザー企業をさまざまな業界で獲得していく」と佐藤課長。これによって、BRMSを日本市場で普及させたい考えだ。