マウスコンピューター(小松永門社長)が、日本市場では4年ぶりとなるWindows Phone搭載スマートフォン「MADOSMA Q501」を発売した。直販PCメーカーとして知られる同社だが、法人市場ではパートナー経由の販売にも注力。携帯電話販売最大手のティーガイアと協業し、回線やクラウドサービスを組み合わせて提供する。(日高彰)
マイクロソフトのスマートフォン用OS・Windows Phoneを搭載する端末が国内で登場するのは、2011年発売の「IS12T」(富士通モバイルコミュニケーションズ製、KDDI向け)以来実に4年ぶり。世界のスマートフォン市場をみても存在感の薄いWindows Phoneだが、次期バージョンでは、PCやタブレット端末のWindowsと共通のアプリケーションソフトが動作する仕組み(ユニバーサルアプリ)が整備されることから、今年後半にかけてシェア拡大の可能性が指摘されている。
一方の国内PC市場は、昨年のWindows XP買い換え特需の反動で、4月に出荷台数が前年比半数以下となるなど深刻な冷え込みを記録している(電子情報技術産業協会調べ)。そのなかでマウスコンピューターは、スティック型PCを他社に先駆けて発売してヒットさせるなど、製品バリエーションの拡大で堅調な動きをみせている。タブレット端末よりも画面の小さい5インチクラスの機器には未進出の同社だったが、Windows Phoneの投入によって、手のひらサイズのモバイル機器からサイネージ端末までの製品ラインアップが完成した。
同社の金子覚・コーポレート営業部マネージャーは、「これまで取引のなかった多くのIT・通信系企業からも問い合わせが寄せられており、業界内での注目は非常に高い」と、反応の大きさに手応えを感じている様子だ。
法人向けでは、Office 365やIntuneなど、マイクロソフトのクラウドサービスや端末管理ソリューションに標準対応していることから、業務用端末としての引き合いは強い。今後、ユニバーサルアプリの開発を手がけようとしている開発者やコンテンツプロバイダが、動作検証やデモ用の端末として購入するというケースもあるという。また、本社がすでにWindows Phoneを導入している外資系企業の日本法人からも問い合わせが寄せられているとのこと。

Windows Phone搭載の「MADOSMA Q501」 金子マネージャーは「従来、携帯端末はメーカー、キャリア、販売代理店という縦一直線の流通経路をたどっていたが、MVNOや家電量販店がメーカーブランドの端末を取り扱うなど、経路が網の目のようになりつつある」と指摘する。日本国内でもSIMフリー端末やMVNOの認知が進んだことで、携帯端末の流通形態が広がり、この動きがマウスコンピューターにとっても大きな追い風になっているというのだ。
PC市場では直販メーカーとして認知されている同社だが、MADOSMAの法人向け流通では国内最大手の携帯電話販売店・ティーガイアとの提携を発表した。ティーガイアは携帯キャリアブランドの一次代理店を運営する一方、マイクロソフトのSurface 3やOffice 365の販売、法人向けMVNOサービスの運営なども手がけており、MADOSMAの端末本体に加え、回線、クラウドサービス、サポートなどをワンストップで提供する。
マウスコンピューターでは、今後もMADOSMAを軸に他社とのパートナーシップを拡大していく考えで、ユーザーニーズに柔軟に対応可能な直販メーカーとしての強みと、パートナーがもつソリューションの価値を融合することで、法人向けモバイル市場の開拓を図っていくとしている。