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寡占市場に参入したfreeeの挑戦 100万事業所の獲得へ、オンライン直販が吉と出るか
2013/08/22 21:03
週刊BCN 2013年08月12日vol.1493掲載
会計システム業界は参入障壁が高く、長らく特定のITベンダーによる囲い込みが進んできた。クラウドサービスは遅々として普及せず、とくに「ブランド力があるベンダーでなければ、(ユーザーは)漠然とした不安を抱いてしまう」(サイボウズの青野慶久社長)という指摘もある。そんななかにあって、クラウド会計システム「freee」が評判を呼んでいる。freee(旧CFO)が今年3月にリリースして以来、6500以上の事業所が採用。5年で100万事業所の獲得を目指すという。
最大の特徴は、入出金の明細データを自動で取り込み、会計帳簿を作成できる自動化機能だ。今年5月には、「freee」上でPDFの請求書を作成し、自動で会計帳簿にも反映できるよう機能強化した。この機能によって、経理処理のわずらわしさを低減し、作業負荷を軽減することができる。freeeの佐々木大輔代表取締役は、「ユーザーに圧倒的な価値を提供することで普及させる」と話す。 同社が最優先するのは、ユーザーとの直接的な関係を築いてニーズを拾うことだ。そのため、オンラインでの直接販売を推進する。間接販売をもくろんでパートナーを囲い込めば、販売管理費がかさむだけでなく、教育コストが生じて負担が大きくなるという事情もある。そこで、当面はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)経由で情報を発信し、クチコミで信頼感を醸成する手法に出た。流行に敏感でfreeeに関心が高いユーザーを取り込むというわけだ。「freee」の利用実績が伸びていることをみれば、ひとまず市場では好意的に受け止められたようだ。 では、中・長期的にみて課題はないのか。自動化機能は中小企業の「税理士への丸投げ経理処理」の改善にひと役買うとはいえ、ITシステムを企業経営に生かすという視点が抜け落ちてしまっては、自計化率向上のためには十分とはいえない。記帳代行はコストこそかかるものの、税理士による確実な仕事や対応への安心感が強いからだ。米国に本社を置くクラウドERPベンダーであるネットスイートの内野彰・マーケティング本部部長は、「国内の中小企業には、欧米と比べれば、経営力を強化するためにITシステムを導入するという意欲に乏しい」と指摘する。 クラウド会計システムの普及のカギを握るのは会計事務所だろう。2000年代半ば以降、記帳代行業務に頼る会計事務所は生き残りが難しくなるといわれ、ITを駆使した経営アドバイザーへの変革を模索する動きが徐々に顕在化してきた。例えば、GoogleとIT税理士ネットワークの取り組みがそうだ。30を数える会計事務所がITベンダーと連携し、取次代理店となっている「Google Apps for Business」などのクラウドサービスを顧問先に推奨している。freeeは、こうした流れに乗るつもりがあるのだろうか。(信澤健太)
会計システム業界は参入障壁が高く、長らく特定のITベンダーによる囲い込みが進んできた。クラウドサービスは遅々として普及せず、とくに「ブランド力があるベンダーでなければ、(ユーザーは)漠然とした不安を抱いてしまう」(サイボウズの青野慶久社長)という指摘もある。そんななかにあって、クラウド会計システム「freee」が評判を呼んでいる。freee(旧CFO)が今年3月にリリースして以来、6500以上の事業所が採用。5年で100万事業所の獲得を目指すという。
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