ランドスケイプ(福富七海社長)は、独自に構築した消費者/企業データベースをもとに、企業のマーケティングやCRM戦略の立案などを支援している。膨大な量のデータベースを構築しているだけに、データをメンテナンスするときの検索処理には、相当な負荷がかかっていた。そこで、アシスト(大塚辰男社長)が提供するDWH(データウェアハウス)専用のデータベース(DB)ソフトウェア「Calpont InfiniDB」を導入。検索時間を大幅に短縮して、業務効率化を果たした。
ユーザー企業:ランドスケイプ
1990年9月10日設立。独自に構築した日本最大級の消費者/企業データベースをもとに、企業のマーケティング活動やCRM(顧客関係管理)戦略をサポートするサービスを提供している。
プロダクト提供会社:アシスト
プロダクト名:「Calpont InfiniDB」
【課題】データベースのメンテナンスが非効率

松本章
マネージャー ランドスケイプは、消費者情報9500万件、企業情報750万件のDBを構築している。750万件の企業情報DBは、常に正確で新鮮な状態を保つために、新しい企業を追加したり、すでに登録してある企業の情報で社名や住所などの変更があれば更新したりする必要がある。こうしたメンテナンスによって追加・更新する企業情報DBは、月平均で約30万件にも及ぶ。
ランドスケイプは、膨大な量のDBをすばやく分析できるように、独自にマーケティングシステムを構築している。通常のDB検索では、このシステムで十分なパフォーマンスを発揮していた。一方で、メンテナンスのためにDBを検索する場合は、「通常とは異なり、部分一致でキーワード検索するだけでは十分ではなく、対象テーブルをフルスキャンしなければならず、検索処理に負荷がかかる」(システム部の松本章マネージャー)という状況だった。例えば、ある企業の情報がDWHに送られてきた場合、その企業の情報が既存のDBにあるかを調べて、適切に処理する必要がある。社名変更しただけなのか、本当に新規の情報なのかは、DBをフルスキャンしなければわからない。
その結果、「一回の検索に1分間以上の時間を要していた」(松本マネージャー)。さらに、検索中にも、DWHには新しい情報が次々と送り込まれてくる。より精度の高いDBを維持するためには、メンテナンス時の検索を高速化する必要があったのだ。
そこで、松本マネージャーは、検索を高速化するためのツールを検討し始めた。よさそうなものがみつかれば、そのつど試験的に導入して効果の実測を繰り返した。しかし、「期待する効果を得ることはできなかった。一定の効果が出るものはあったが、実際に導入する場合には、既存のシステムを組み直さなければならなかった。人的リソースは限られているし、コストもかかるので、決裁が下りるはずがなかった」と松本マネージャーは振り返る。
【解決と効果】月平均50万件のデータを更新
検討を始めてから5年が経過した。四つの製品を試したが、導入に至るものはなかった。そんなとき、アシストの営業担当者からDWH専用のDBソフトウェア「Calpont InfiniDB」を薦められた。DB検索の高速化に特化しており、特別なチューニングや専用ハードウェアを導入しなくても利用できる製品だ。松本マネージャーは、「正直にいえば、これまで試してきたものと同じだろうと期待はしていなかった」と、本音を明かす。
アシストとはこれまでに別件でつき合いがあったので、ひとまず試験導入した。すると、「意外にも1分間かかっていた検索が、たったの2秒で完了した。さらに、オープンソースのMySQLをベースとしており、システムを再構築する手間がかからないことも判明した」と、松本マネージャーはいいことづくめに驚いた。高性能で、手間がかからず、TCO削減につながる──。このことを決め手として、松本マネージャーは上司に進言したところ、無事に決裁が下りた。実際、採用が決まってから導入までは、2週間しかかからなかった。そして、2012年9月末に稼働を開始した。DBの検索時間を短縮したことで、メンテナンスの業務効率が向上し、「月平均で約50万件まで処理できるようになった」(松本マネージャー)という。
ネックとなっていたDBのメンテナンスを改善したランドスケイプは、「Calpont InfiniDB」の活用領域を営業の場面に拡大している。これまで、営業担当がDBの見本を顧客に提示するときには、いちいち本社で該当するDBを検索してから顧客のもとに持っていく必要があった。そこで、タブレット端末と「Calpont InfiniDB」を結びつけて、デバイスから高速でDB検索ができるようにしたのだ。その結果、客先ですぐにDBを提示して、効果的にアプローチできるようになった。
メンテナンスと営業の業務効率化を実現したランドスケイプ。松本マネージャーは、「Calpont InfiniDB」の性能がさらに向上して、検索を1秒以内で完了できるようになればいい」と、さらなる改善に期待を寄せている。(真鍋 武)
3つのpoint
検索時間を大幅に短縮
短期間で導入
運用の手間がかからない