IDC Japan
リサーチ第2ユニット
(ITスペンディング/ソフトウェア&セキュリティ)グループディレクター
和田英穂
市場規模の推移
東日本大震災の復興需要や金融緩和などで景気が上向いたこともあって、2012年の国内IT市場の規模は前年比2.6%増の13兆5189億円となる。2013年は、外需の低迷や政局の不安定などに伴い、ほぼ横ばい(0.3%増)の13兆5597億円となるとみている。このうち、2013年のITサービス市場は1.8%増の5兆112億円で、ソフトウェア市場は3.7%増の2兆4975億円、ハードウェア市場は2.2%減の6兆510億円となるだろう。
製品分野別にみると、ITサービスやソフトウェア、通信機器は堅調だが、パソコンやサーバーなどは2012年、2013年とマイナス成長が続く。通信機器の成長を支えているのは、スマートフォンの急激な伸びだ。別集計しているタブレットと電子書籍の合計は2012年は54%増、2013年は10%を超えて増加するだろう。
2011年から2016年までのCAGR(年平均成長率)は0.9%増で、2016年の市場規模は13兆7545億円となる見通しだ。IT支出はハードからITサービスやソフトにシフトする。産業分野別では、2011年から2016年にかけて医療やITサービス、運輸などが大きく伸びる。コンシューマ向けではスマートフォンが好調だが、現時点で非常に売れているので、2013~2014年あたりである程度市場に行き渡ることになる。その後は更新需要になるだろう。そのため、コンシューマ向けのスマートフォンはいずれ頭打ちになる。
市場の可能性
IDCでは、「第三のプラットフォーム」時代が到来したとみている。第一のプラットフォームはメインフレームとターミナル端末、第二のプラットフォームはクライアント/サーバー、第三のプラットフォームは、クラウドサービスとモビリティ、ソーシャル、ビッグデータで構成する。クラウド上のアプリやソーシャルサービスはモバイルデバイスを使い、どこからでもいつでも利用可能になる。モバイルデバイスはビッグデータと連携することになる。とくに、ビッグデータが新たな価値を生み出す。
ITベンダーにとって、スマートフォン、タブレットへの取り組みが重要となる。第三のプラットフォーム時代では、これまでの延長線上ではなく、新しいアイデアを生んでいかなければならない。先進的なビジョンで顧客を惹きつけて、市場をリードすることが求められる。
(構成/信澤健太)
見逃したらソン!最新データ
▼アイ・ティ・アール調べ
『エンタープライズ・モバイル管理市場2012』
2011年度のモバイルデバイス管理市場は、参入ベンダーの急増で2.3倍に拡大した。モバイルデバイス向けマルウェア対策の市場は、Android搭載デバイスの普及に伴い、7倍近く拡大した。モバイルデバイス向け文書管理市場は、新規参入ベンダー増加で10倍に急拡大した。
▼矢野経済研究所調べ
『海外グループ企業のITガバナンスに関する法人アンケート調査結果 2012』
海外グループ企業をITガバナンスの対象にしている企業は約30%。海外に子会社をもつ年商1000億円以上の企業のうち75.0%が、海外グループ企業までITガバナンスの対象にしている。中堅・中小企業のグローバルITガバナンスの実現が急務であるとしている。