商業印刷や企画・デザインなどを手がけるフクイン(名村眞人代表取締役)は、富士通マーケティング(FJM)が開発するクラウド/SaaS型アプリケーション「GLOVIA smart きらら 人事給与」を導入した。SaaS型勤怠管理システム「ちゃっかり勤太くん」との連携性をはじめ、初期コストや運用負荷の低減などが決め手となった。
フクイン
会社概要:1948年7月、松本望氏(前取締役会長)が活版印刷を事業とする共栄社を創業。1949年12月、福音印刷株式会社に改組。1987年1月、フクインに商号を変更。商業印刷、書籍出版印刷、マニュアル印刷などを手がける。
サービス提供会社:富士通マーケティング
プロダクト名:「GLOVIA smart きらら 人事給与」
「GLOVIA smart きらら 人事給与」の概要
東京・文京区に本社を置くフクインは、1948年の創業以来、印刷業を営んできた。同社は自社開発の給与管理システムを運用していたが、法令改正などへの対応が重荷となったこともあって、アマノが提供する「AMANO Time proXG」を導入した経緯がある。だが導入後、保守料金が高いことに不満を覚え、保守切れのタイミングで「きらら 人事給与」に刷新することを決めた。
2011年9月頃、FJMが現状のヒアリングを実施。「デモンストレーションを受けて、まずは『きらら 人事給与』をテスト運用してみた」と、フクインの中村均・情報システムグループSEは導入の第一ステップを語る。操作指導を兼ねた3か月の試用期間を経て、翌年1月に本稼働を開始した。
「もともとクラウドに対してはプラスイメージを抱いていなかったが、リスク管理の必要性を感じていた」。フクインの吉川晋・管理担当執行役員生産統括部部長はこう話す。印刷用の原稿データのリスク管理方法について、大手取引先からはクラウド化を要望されることがあるという。また、2011年3月11日に発生した東日本大震災は、社内にシステムを抱え込むことへの危機感を募らせることになるきっかけとなった。現在は、「きらら 人事給与」の導入をクラウド型システム導入の試行の段階と捉えている。
「きらら 人事給与」は、富士通グループのFJMが提供しているSaaS型アプリだ。「知名度やブランドが信頼できるものだった」(吉川部長)。国内に設置してあるデータセンターを経由しているという安心感もあったという。
SaaS型アプリならではの利点も評価した。例えば、異動による従業員数の変動に応じて利用料金を調整できるのがそれだ。パッケージのように、利用ピーク時に合わせてハードウェアやソフトウェアを購入・運用する必要がない。吉川部長は、「月額ライセンスの価格の弾力性を評価した。バージョンアップなどを含めると、5年間で従来のパッケージシステムの半額に収まると試算した」と話す。
それだけではない。勤怠や手当・控除などの情報は、CSV形式で一括入力することが可能。加えて、給与明細書や総合振込依頼書などの帳票の用紙は、一般用紙と専用用紙のうちから選択することができる。FJMによると、専用用紙の場合と比較して一般用紙では50%以上のコストを削減できるという。フクインが以前導入していたパッケージシステムは専用用紙を利用していた。他のパッケージでも一般用紙がない場合は多いという。
フクインの導入事例が他社のそれと大きく異なるのは、他システムとの連携だ。手動ではあるが、フクインは月1回、Excel形式で出力した「ちゃっかり勤太くん」の勤怠データを「きらら 人事給与」に連携させている。「ちゃっかり勤太くん」は、富士通のクラウド基盤を活用しているエイ・アイ・エスのSaaS型アプリで、「きらら 人事給与」と組み合わせるのはこれが初めてのことだった。
2012月1月に稼働を開始した当時、実は「きらら 人事給与」の人事管理機能はまだ提供されていなかった。吉川部長は、「人事管理はこれまでExcelを駆使していて、過去の履歴は紙でしか残っていない」と語る。3月に提供が開始されたのを受けて、人事管理機能も利用するようになった。給与データを活用し、1人あたりの生産高を細かく分析できるようにもしていくことを計画している。(信澤健太)

フクインの吉川晋部長(右)と中村均SE
3つのpoint
・従業員数に応じた課金体系
・初期コストや運用負荷の低減
・勤怠管理システムとの連携性