富士電機(北澤通宏社長)が開発・販売するワークフローシステム「ExchangeUSEワークフロー」の商流が転換期を迎えている。福島健吾・社会システム事業本部社会情報システム事業部第一システム技術部担当課長は、「これまでは、業務特化型を中心に事業を展開してきたが、市場では汎用型にニーズが移ってきている」と説明。加えて、既存パートナーが製品・販売戦略を転換してきているといい、時流に合わせた事業の方向性を模索している。
 |
| 富士電機の福島健吾・社会情報システム事業部第一システム技術部担当課長 |
富士電機が開発・販売するワークフローシステム「ExchangeUSEワークフロー」は、年商100億円以上の企業に強い。汎用型の「Web申請ワークフロー」と個別の業務に特化して作り込まれた「業務特化型ワークフロー」の2系統を揃えている。業務特化型に、「旅費・経費精算」「勤務管理」「総務人事」「総務購買」を用意しており、競合他社との差異化ポイントとなっている。
しかし、近年は風向きが変わってきた。市場ニーズと既存パートナーの製品・販売戦略の変化を受け、新たな施策を打ち出している。
市場動向について、福島担当課長は「汎用型の引き合いが多い」と話す。このほか「市場の寡占化が進んでおり、価格競争の様相を呈している」とも分析している。
一方、業務特化型の「ExchangeUSE」をバンドル販売してきたオービックやミロク情報サービスなどのERPベンダーは、自社製品でワークフローを補完するようになってきているという。市場ニーズが同社の得意とする業務特化型から汎用型に移行してきたことも、こうした動きを後押ししてきたとみる。
対応策として、各社の個別のニーズに柔軟に対応できるように、導入事例を踏まえたノウハウを営業担当者の間で共有しつつ、インテグレーションで利益を稼ぐことに注力している。また、「従来パートナーに紐付きの営業担当者を外し、直接販売にリソースをシフトした」(福島担当課長)。規模の大きなITイベントへの出展を控え、少人数の独自セミナーを開催し、案件成約率の向上を目指している。
並行して、電通国際情報サービスや伊藤忠テクノソリューションズといったSIer経由の販売を推進している。SIerには、“痒いところに手が届く”システムとして、業務特化型と汎用型の双方の豊富な品揃えで訴求している。従来から主要なパートナーである富士通グループ経由の販売ボリュームは維持している。富士通のワークフローシステム「GLOVIA/MyOFFICE」からのリプレースを狙う。
対象とする企業層の再設定にも着手している。従業員500人以下あるいは1000人以上の企業に向けた販売を強化している。企業のM&Aなどを契機とするリプレースを期待する。
富士電機は、ワークフロー市場では上位グループに属するベンダーだが、市場ニーズの変化を敏感に感じ取って、行動を起こしている。BPM/SOAミドルウェア的な製品が注目を集めていることを受け、新製品のリリースも目指している。同社は着実に製品・販売強化策を打っているようだ。(信澤健太)