NTTデータビズインテグラル(中山義人社長)は、矢継ぎ早にBiz∫シリーズの新商材を発表している。新規パートナーや販売チャネルの獲得にも乗り出した。2010年9月には、IFRS(国際会計基準)対応の連結会計ソリューションを発表。今後は、生産管理やCRM、SFAも投入していき、「今年度中にほとんどの製品をリリースする」(田中秀明・取締役マーケティング・営業統括営業本部長)という計画だ。参加各社の得意分野を持ち寄り、NTTデータグループのERP基盤を活用することで、来年度以降の飛躍を狙っている。
NTTデータビズインテグラルは、NTTデータグループの企業を中心にパートナーを増やして拡販する体制を築いている。今年8月31日時点でのパートナーは33社。2012年には、これを100社に拡大することを目標としている。 田中本部長は、「構成比はNTTデータグループとそれ以外のベンダーが半々くらい」と説明する。直近では会計事務所やコンサルティングファームとの提携も推進している。今後は、販売パートナーとなるSIerをさらに拡充したり、参画企業の販売チャネルを開拓することが必要になる。
現時点では、多くの商材が未出荷あるいは出荷して間もないため、来年度以降に徐々に販売チャネルを確立していくものと考えられる。それには、クラウド対応型業務アプリケーションの開発・実行基盤である「Biz∫ APF」の提供が後押ししそうだ。田中本部長は、「『Biz∫APF』を利用することで、業務アプリケーションの開発生産性がかなり向上する」と、パートナーにとってのメリットを強調する。「Biz∫APF」上で開発されたアプリケーションは、認定基準をクリアすれば「Biz∫」製品群にラインアップされる。
今年度中に投入する新商材には、東洋ビジネスエンジニアリングがOEM提供する生産管理システム「Biz∫ 生産」がある。独自商材としては、NTTデータグループのJSOLと共同でCRMシリーズの開発を進めている。これに、医薬業界に強いJSOLのノウハウを活用して医薬業界向けテンプレートを併せて開発。パートナーが開発する他業種テンプレートの拡充も視野に入れているという。
NTTデータイントラマートがもともと揃える商材の一つにSFA(営業支援システム)があるが、今回、新たな開発に着手する。田中本部長は、「ユーザー企業からSFAとCRMに関する問い合わせが多数寄せられた。他のパッケージに比べると開発しやすいので、一から開発し直すことにした」と経緯を明かす。
Biz∫シリーズは、国産ベンダーの得意分野を持ち寄り、NTTデータグループが基盤部分を用意する純国産ERPだ。09年10月に販売を開始した4製品を皮切りに、クラウド対応型業務アプリケーションの開発・実行基盤「Biz∫APF」に加え、IFRS対応の連結会計ソリューション「連結クラウド」などを立て続けに発表してきた。
すでに特定の分野でまとまったシェアをもつ国産ベンダーが集い、NTTデータビズインテグラルが音頭をとって進めるERP事業は、競合にとって脅威となる。販売チャネルの強化は緒に就いたばかりだが、これがNTTデータグループ以外にすそ野が広がっていけば、業界勢力図に影響を与える可能性は十分にある。(信澤健太)