ブレード、シンクラなどで営業力育成
日本ヒューレット・パッカード(日本HP、小出伸一社長)は、セールス(営業)担当者向けの新たな資格制度をスタートさせる。技術者向け資格制度はどのメーカーも推進するが、営業力を認定する仕組みはユニークで、日本HPにしても初の試み。メニューは製品ごとに分け、第一弾はブレードサーバー関連の資格制度で、6月に開始する。その後は、シンクライアントやストレージ、ネットワーク機器と続ける計画。販売パートナーの技術力だけでなく営業力も育成・強化することで間接販売力を高める。

日本HPが開始する営業担当者向け資格制度は、海外ではすでに導入・運用が進んでいる。「Accredicated Sales Professional(ASP)」とその上位版「同 Consultant(ASC)」の2種類がある。中国では毎月100人規模で認定者が増えているという。今回、このグローバルな資格制度を日本の販売パートナー向けに改良した格好だ。
6月に国内で始めるのは、HPのブレードサーバー「HP BladeSystem」の営業・提案力を測定する内容で、「ASC」のみで展開する計画だ。ASCを受験するには、ASPの1メニューである「Solutions」という資格を事前取得することが条件とされている。資格取得のための教育は、eラーニングと専門インストラクターによる講義の2種類を用意。教育と受験料は無料にした。ブレードの販売意欲は高いものの、スキルに乏しいITベンダーに広く告知、活用してもらいたいという狙いがあるためだ。目標認定者数は今年度(2009年10月期)で300人。皆見浩・パーソナルシステムズ事業統括パートナーマーケティング部部長は「早期に1000人規模まで増やしたい」と意気込みを語っている。
まずは日本HPが組織化するブレードサーバー専用のパートナー制度参加企業の24社に告知し、資格取得を勧めるが、皆見部長は幅広くPRしていく計画をもっている。
皆見部長はこんな見解を示す。「ブレードや仮想化技術の浸透で、これらを使えば情報システムのインフラ構築でパートナーは差別化ができるようになっている。従来は利益確保が難しかったインフラ系事業は今、再び儲けられるビジネスになった」。
タワー型やラック型と違い、ブレードサーバーを用いたシステム提案には特別の知識を要する。売りたいと思っても及び腰になるITベンダーが少なくない。とくに中小のITベンダーにはまだ敷居が高い。それらのITベンダーに技術だけでなく、営業・提案力も身につけてもらうことで販社網を増強し、ブレードの間接販売を伸ばすつもりだ。
日本HPはブレードで資格制度を開始したのを皮切りに、他のプロダクトでも同様の営業担当者向け資格制度をスタートさせる予定だ。年内にはシンクライアント「HP Thin Client」とストレージ「StorageWorks」を用意し、ネットワーク機器「Procurve」もメニューに取り入れることを前向きに検討している。「技術力+営業力」強化というハイブリッド戦略で、パートナーの力を高める手法をとる。(木村剛士)