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新時代の“看板” デジタルサイネージ 市場急拡大の可能性大
2008/07/21 14:53
週刊BCN 2008年07月21日vol.1244掲載
「屋外メディア」として徐々に普及し始めたデジタルサイネージ。その関連ビジネスが盛り上がる可能性が出てきた。普及・促進の任意団体「デジタルサイネージコンソーシアム(DSC)」が普及に不可欠な技術・指標のガイドライン作りに着手。コンテンツを映し出すディスプレイメーカーは低価格の普及商品を投入するなど、ベンダーも本腰を入れてアプローチし始めた。
デジタルサイネージ関連市場は、広告やディスプレイ装置の販売のほか、コンテンツ制作やネットワーク・システム構築需要があり、幅広い。DSCでは今後の市場拡大は間違いないとみており、2011年に現在の約3倍にあたる1100億円、2015年には1兆5000億円と爆発的に伸びると予測している。 デジタルサイネージとは、「屋外や店頭、交通機関など家庭以外の場所で、電子表示機器を通じて情報発信するメディア」と定義される。「OOH(Out Of Home)メディア」とも呼ばれる。流すコンテンツや表示場所はさまざまで、商業施設やビルに設置されたモニタでの広告、駅や空港・電車内で流される交通情報、スーパーなどの店頭での商品説明映像など。対象機器の範疇も広く、文字情報だけを表示する電子掲示板や、映像・音声を流せるモニタなどを含む。 関連ビジネスも幅広い。ディスプレイ装置および関連ソフトの販売のほか、コンテンツ制作やディスプレイにコンテンツを流すためのシステム・ネットワーク構築などがある。ハードおよびソフトメーカー、コンテンツ制作会社、SIerとNIerにビジネスチャンスがあるわけだ。 デジタルサイネージ関連市場は、米国では小売業最大手のウォルマートがデジタルサイネージ用に約6万ものディスプレイ装置を一斉導入するなど、目立った動きが出始めている。一方、日本は米国に比べて「2-3年遅れている状況」(DSCの江口靖二事務局長)にある。広告やハード・ソフトの販売、サービスも含めて現在400億円程度で、先進国に比べて規模は小さい。江口事務局長はその理由を、「テレビや新聞・雑誌、Webサイトと比べメディアとしてまだ未成熟。テレビの視聴率やWebサイトのページビューのような指標がなく、広告媒体として弱い。コンテンツをディスプレイ装置やシステムに関係なく流せるような技術的ガイドラインもない」と説明する。 ただ、成長の余地が大きいとも断言する。「時間と場所を特定できる唯一のメディアがデジタルサイネージ。新聞やテレビ、Webサイトにはない強みになる」。DSCでは、市場は倍々で伸び、2015年には1兆5000億円に成長すると強気な見方をしている。 この有望市場を一気に拡大させようと、DSCでは課題解決に動き始めた。技術・指標のガイドライン作りを進めている最中で、早ければ8月にも完成する。政府機関にも協力を求めやすいように、社団法人化も検討開始した。発足してまだ約1年の若い団体だが、会員企業にはシャープなどの家電メーカーやNTTなどの通信キャリア、電通などの広告代理店といった各分野の大手が名を連ねる。それだけに、動き次第でビジネス環境が一気に整う可能性がある。 ベンダーの動きも慌しくなってきた。日本サムスンは競合の低価格製品に比べて半額の20万円を切る32型のデジタルサイネージ用ディスプレイ装置を開発。法人向けの販売チャネルで流通させたほか、家電量販店でも売り始めた。一部の関係者は「サイネージ機器として価格的障壁を下げた商品。どの程度受け入れられるかが、早急に立ち上がるかのマイルストーンになる」と評価している。NECも本腰を入れ始めた。岡田靖彦・ディスプレイ・ドキュメント事業部長は、ディスプレイ販売の主要マーケットとしてデジタルサイネージを意識。「海外ではすでに実績があり、その価値を日本でも伝える」と意気込みを示している。 ほかにも動きがある。映像関連システム構築に強い日本SGIはその代表例。3D映像を裸眼でも見られるシステムを開発し7月に発売。デジタルサイネージシステムとしてPRする。町田聡・事業開発本部コンテンツビジネス担当部長は、「デジタルサイネージの市場は配信システムや無線ネットワーク構築、コンテンツ制作サポートなどさまざまなビジネスチャンスがある。まだ問題点は多いものの、成長性が高く有望視している」と述べている。映像を流すシステムはスタンドアローン型が主流で、ネットワーク化されているのは「全体の約20%しかない」(DSCの江口事務局長)という。となれば、映像コンテンツ配信システムやネットワーク構築需要が出てくるのはこれからだ。 まだ未成熟とはいうものの、市場急拡大の可能性を秘めたデジタルサイネージ。関連技術の取得や商材、ユーザー企業のニーズを調べてみる価値は十分ありそうだ。
「屋外メディア」として徐々に普及し始めたデジタルサイネージ。その関連ビジネスが盛り上がる可能性が出てきた。普及・促進の任意団体「デジタルサイネージコンソーシアム(DSC)」が普及に不可欠な技術・指標のガイドライン作りに着手。コンテンツを映し出すディスプレイメーカーは低価格の普及商品を投入するなど、ベンダーも本腰を入れてアプローチし始めた。
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