リザルトシステム構築し、全世界に記録を配信
IAAF世界陸上2007大阪大会(第11回世界陸上競技選手権大阪大会)が閉幕した。オリンピック、サッカーワールドカップと並び、世界三大スポーツイベントのひとつと呼ばれる世界陸上は、全世界約200か国に中継され、今回の大阪大会も、グローバル規模で人々を熱狂の渦に巻き込んだ。この世界陸上で、競技の経過や結果をリアルタイムで計算し送信するリザルトシステムの構築/運用を手がけているのがセイコーエプソンである。(大河原克行(ジャーナリスト)●取材/文)
■正確な計測と迅速な配信 セイコーの技術が生きる 陸上競技では、アスリートの競技に厳密な計測が求められる。そして、世界大会では、この結果を全世界に一斉に配信することも重要な要素だ。
世界陸上大阪大会においては、前者はセイコーの計測技術の粋を集めたタイミングシステムで実現され、後者はセイコーエプソンのITソリューション技術を用いたリザルトシステムによって実現される。
世界陸上で導入されたリザルトシステムでは、計測されたデータを、エプソンが運営するリザルトルームのサーバーに集約。それを会場内の掲示板や、プレスが利用するCIS(コメンテータ・インフォメーション・システム)向けに配信。さらに、IAAFホームページへの掲載や、テレビ放映に利用されるデータとして放送局に配信するほか、エプソン製プリンタで、紙に印字した情報をプレスセンターで配布するといった役割まで担う。
■CIS550台を設置 選手の情報が瞬時に分かる 競技会場内で利用されているのがCISである。CISは、テレビでの実況の際に、実況担当者、解説者などが利用する端末だ。
システムはタッチパネル方式となっており、リアルタイムで更新される記録やスタートリストなどの情報を瞬時に得ることができる。会場内には550台のCISが設置されており、実況担当者はこの情報をもとに選手の情報や、記録などを参照して報道することになる。
CISの操作に慣れているプレス関係者が多いため、インターフェースの変更を容易にできないという制限があるが、それは裏を返せば、プレス関係者にとって利用しやすい操作環境が完成しているともいえよう。
厳正な競技進行を図るためには、当然ながら、期間中のシステムダウンは許されない。リザルトシステムでは、バックアップ用サーバーの導入、UPSの導入などのほか、陸上競技のリザルトシステムで多くの実績を持つエプソンのイタリア法人から37人の社員を投入。期間中、45人体制による万全の体制で臨んだ。
セイコーエプソンのブランド・コミュニケーション推進部・小松秀敏専任部長は、「期間中の安定稼働にはこれまでの経験が生きている」として、長年の実績をもとに今回のシステムが構築/運用されたことを強調する。
期間中、熱戦が繰り広げられた世界陸上。その陰では、エプソンのリザルトシステムが、しっかりと成功を支えていたのだ。
エプソン・イタリア法人の実績生かす
●世界陸上 IAAF世界陸上2007大阪大会(第11回世界陸上競技選手権大阪大会)は、8月25日から9月2日までの期間、大阪市長居陸上競技場で開催された。日本での開催は、1991年の東京大会以来、16年ぶり2度目となる。