その他
CSAJ 「SaaS研究会」発足
2007/04/16 14:53
週刊BCN 2007年04月16日vol.1183掲載
コンピュータソフトウェア協会(CSAJ、和田成史会長=オービックビジネスコンサルタント社長)は、ユーザー企業の利用拡大が見込まれるSaaS(Software as a Service)/ASP型ビジネスの基盤確立などを目的とした「SaaS研究会」を4月中に設立する。導入効果やサービス紹介などの情報交換をするポータルサイトを6月に立ち上げるほか、将来的にはデータセンターを設置して「検証環境」を整備することなどを検討している。会員の国産ソフトベンダーやサービス型のソフト提供を行うベンダーによる「水平連携型」ビジネスモデルの確立を目指す。国内最大のソフトベンダー団体がSaaS/ASP型を志向することで、国内ソフトの流通が大きく変革しそうだ。
ソフト流通、大変革期に突入へ 検証用IDCの設置も検討 「SaaS研究会」(木下仁主査=アールワークス社長)は、SaaS/ASP型のビジネスを先行して取り組む国内ベンダーの代表者ら十数人で発足する。社団法人であるCSAJの事業は、通常1年で報告書をまとめるが、同研究会は完了年度を決めず継続的に行う。 CSAJは昨年10月、経済産業省の「産業構造審議会」で「ソフトウェア産業に求められるモデルの転換」方針が打ち出されたのを機に、「準備会」を立ち上げた。この間、SaaS/ASP型の国内サービスベンダーであるラクラスやきっとエイエスピー、セールスフォース・ドットコムなどのほか、ASP普及を目的としたNPO法人「ASPIC(ASPインダストリ・コンソーシアム)ジャパン」から、SaaS/ASPビジネスの課題や国内ベンダーと連携・協業する方法などに関する意見を聴取してきた。 これを受け、「SaaS研究会」では「これまでのヒアリングで、ユーザー企業が安心・安全にSaaS/ASP環境を利用するうえでの課題などが出てきた」(木下主査)と、SaaSに関する調査やケーススタディの収集、整備すべきシステム環境の分析、国産ISVとデータセンター(IDC)を所有して、すでにサービス型のビジネスを展開するベンダーと連携する方策などを検討していく方針だ。 具体的な施策としては、SaaS/ASPに関する情報を集約したり、ISVやサービスベンダー、システム運用者などの協業や意見交換の場として「SaaSポータルサイト」を6月に開設。同サイトなどを通じてサービスやシステム連携の仕組み、共通インフラやツール類の開発や利用促進などのあり方を提言していく。 将来的には、国の支援を受けてSaaS/ASPの実運用システムの実行・検証環境となるIDCを共同で構築・運用することを検討している。木下主査は「業務ソフトなどを従量課金や定額制で提供するSaaS/ASP型サービスは、契約が切れた場合の既存データの保存・変換など問題がある。だが、外部接続性に乏しいスタンドアローン型ソフトは徐々に敬遠され、コスト面からもSaaS/ASP型サービスへと移行するだろう」とみている。したがって、早期に研究を開始し、国内のISVとサービスベンダーで「水平連携型」モデルを構築する時期にあるとしている。 SaaS型サービスは、米セールスフォース・ドットコムが2000年に国内法人を設立し、CRM(顧客情報管理)の提供を開始してから注目され始めた。昨年には、同社プラットフォーム上で開発したソフトをソフト流通・卸大手のソフトバンクが自社IDCや通信網を活用してサービス事業を開始した。また、SaaS型のCRMやERP(統合基幹業務システム)、EC(電子商取引)製品を開発・提供する米ネットスイートも日本市場へ参入。ミロク情報サービスが同社と提携し、製品販売を始めるなど、ソフト市場に変革をもたらした。 調査会社の米ガートナーによれば、2011年までに世界の業務ソフトの25%(現在5%)は「SaaSモデル」になると予測。国内の各種調査会社によると、現在の国内SaaS市場は約2500億円で、2010年に1兆円弱まで成長すると予測するデータもある。CSAJによると、国内のパッケージ型ソフト市場は、データがある2005年で約8200億円。そのほとんどが、SIerなどユーザー企業先で設置するパッケージ型ソフトで、「明日、こうしたISVの売り上げが一気にゼロになってもおかしくない」(木下主査)と、危機感を強めている。 ISVは、SaaS型が普及しても、流通コストが軽減される分、利用価値が高い。ただ、これまで、パッケージ型ソフトをユーザー企業へ間接販売していた訪販系ベンダーや事務機ディーラーなどへの影響は必至で、流通網の変革が避けられない状況になったといえる。
コンピュータソフトウェア協会(CSAJ、和田成史会長=オービックビジネスコンサルタント社長)は、ユーザー企業の利用拡大が見込まれるSaaS(Software as a Service)/ASP型ビジネスの基盤確立などを目的とした「SaaS研究会」を4月中に設立する。導入効果やサービス紹介などの情報交換をするポータルサイトを6月に立ち上げるほか、将来的にはデータセンターを設置して「検証環境」を整備することなどを検討している。会員の国産ソフトベンダーやサービス型のソフト提供を行うベンダーによる「水平連携型」ビジネスモデルの確立を目指す。国内最大のソフトベンダー団体がSaaS/ASP型を志向することで、国内ソフトの流通が大きく変革しそうだ。
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