オープンソースソフトウェア（OSS）の代表的なライセンス方式「GPL」（General Public License）が今年4月にも大幅に改定される公算が強まった。昨年1月から計5回の会合で検討を重ねてきたもので、近くバージョン3の最終案がまとまる見通しとなった。

　現在のGPLバージョン2は1991年に策定され、以後16年間、大きな改定が行われていない。関係者によると、（1）ソースコードが公開されたプログラムを実行する自由（2）解析し改造する自由（3）複製物を再配布する自由（4）改造・改良点を公開する自由─の「4つの自由」原則は維持されるが、コピーレフト条項が強化されるとともに、より国際的なソフトウェア・ライセンスを目指すとしている。

　コピーレフト条項の強化については、米国のデジタルミレニアム著作権法（DMCA）など著作権者の権利を過剰に保護しようとする法律や、第三者認証のないソフトウェアの使用を禁ずるトラステッド・コンピューティングの考え方などを明確に否定したほか、OSSを組み込んだ有償ソフトウェアを販売する「フリーライダー」の防止を規定する。

　ライセンスの国際化では、これまで米国の国内法に対応する規定を見直して、各国の法体系に適合する表現に改める。また、OSSの他のライセンス（GNU、MPL、CPL、BSDなど）と両立するよう、コメントを挿入して整合性を確保する仕組みを創設する。

　GPLはLinux、Samba、MySQLなどOSSの約7割が採用しているライセンス方式で、サンマイクロシステムズ社も近くJava処理系プログラムにGPLを適用することを表明している。Apache開発コミュニティも追随するとみられ、バージョン3がOSSライセンスのデファクト・スタンダードになることは間違いない。

　一般にコピーレフト条項は「反DRM（Digital Restriction Management）条項」とされるが、今回の改定では「反DRMではない」ことを明示することになりそうだ。

　またフリーライダーの防止がうたわれるのは大きな改定だが、どのようにフリーライダーを特定するのか、罰則を設けるのかなど、不明瞭な点も少なくない。