システム販売系SIerのワイ・ディ・シー（宮坂博社長）は、2005年春に市場投入したデータベース（DB）バックアップシステムの「Standby Express（スタンバイ・エクスプレス）」で事業拡大に乗り出した。168万円と低価格に設定したシステムをベースに、災害対策が可能な製品・サービスを提供。自社製品の販売増に加え、他社ベンダー提供の製品と組み合わせることで、ユーザー企業を増やしていく方針だ。

　「Standby Express」は、オラクル製DBに対応したシステム。「スタンバイ・データベース」といわれるサブのハードウェアを構築し、本稼働しているDBシステムがダウンした際にスタンバイ・データベースを本稼働データベースとすることができる。遠隔地への配置で、災害対策として活用できるわけだ。アーカイブログのファイル転送だけでバックアップできることから本稼働システムの負荷が少ない一方、転送間隔次第でデータロスが発生するというリスクもある。しかし、168万円と低価格に設定したことで、一昨年の発売から約20社に納入した。

　作前雄三・セールスコンサルティング統括本部企画部シニアマネージャは「最近では、災害対策に関する意識がますます高まっている。しかし、DBのリスクマネジメントはミラーリングで可能だが、ハードウェアをはじめシステムが高価であることから、導入できない企業が多い。そのため、テープにとってリスクに備える企業が多いが、この場合は何時間もかけてシステムを復旧しなければならない。そこで、安価に災害対策が可能なシステムとしてユーザー企業を増えている」とみる。大手企業の部門単位で導入するケースが多いという。今後は、「競合他社の製品と比べて安いという利点を生かし、災害対策の必要性を感じつつも実現できていない中堅企業を対象に販売を増やす」計画だ。拡販に向けて同社が取り扱うオラクルDB製品を含めた販売に加え、他社の製品・サービスと組み合わせて提供する。このほどRFID在庫管理システムとのシームレスな連動も可能にした。

　また、これまでは直販が主体だったが、「販売代理店経由のビジネスも行っていきたい」との考えを示す。代理店獲得に向けた具体的な策は今後詰めるが、「まずは、災害対策セミナーなどを開催し、さまざまなベンダーに協業の話をもちかける」としている。