シマンテック（木村裕之社長）は、インターネット上の金銭犯罪対策ソフトウェアの販売に本腰を入れる。ウェブサイトで入力するID・パスワードの流出を防いだり、フィッシング（詐欺）サイトを見極める機能を持つソフトを開発。個人と法人それぞれの市場に向けて専門ソフトを投入する。個人向けでは、昨年12月1日にパッケージソフト「Norton Confidential（ノートン コンフィデンシャル）」の販売を開始。一方、法人向けには企業が自らの個人顧客に対して安全な取引環境を構築できる専用ソフトを発売する。

　ネット通販や金融機関の「オンラインバンキング」を利用する個人が急増したことで、偽サイトへの誘導による詐欺行為や、不正プログラムを使ってID・パスワードを詐取し、金銭を騙し取る犯罪が多発している。こうした状況からニーズが強まると判断した。

　警察庁の調べでは、2006年上期でサイバー犯罪の検挙数は、前年同期比11.8％増の1802件で増加傾向にある。その大半が「不正アクセス禁止法」違反だ。ネット利用犯罪では詐欺行為が全体の4割を占め、ネット上の悪質行為が急増している。

　個人向け製品はすでに、専用ソフト「Norton Confidential」を昨年末にリリースした。11月1日にダウンロード版（価格は4410円）、12月1日にパッケージ版（同4956円）を発売。「販売は好調でパッケージよりもダウンロード版のほうが売れている」（風間彩・シニアリージョナルプロダクトマーケティングマネージャ）。

　PCユーザーが正規のウェブサイトにアクセスしているかどうか知らせたり、フィッシングサイトの場合は警告を出す機能を持つ。また、個人情報を盗み出す「クライムウェア」とよばれる不正プログラムの検知・駆除や、IDやパスワードの暗号化も可能だ。統合型セキュリティソフト「Norton Internet Security」や今年3月までに投入予定の新製品「Norton 360」にもネット犯罪から守る機能はあるが、「『Confidential』は機能が最も豊富」（風間氏）だとしている。

　法人向けの「Norton Confidential OnlineEdition」は、一般消費者向けに「オンラインバンキング」を提供している金融機関や、ネット通販を手がけるECサイト運営企業向けの製品。企業が同ソフトを導入することで、顧客であるユーザーは、IDやパスワードを保護された状態で正規のサイトにアクセスできるようになるという。昨年11月に発表したが、販売時期は未定としている。