その他
ネクストコムが機器提供 RFIDシステムで子供を守る
2006/11/20 14:53
週刊BCN 2006年11月20日vol.1163掲載
ICタグなどRFIDシステムで子供を守る──。埼玉県蕨市でCATV(ケーブルテレビ)事業を手がける蕨ケーブルビジョンが小学生の子供を持つ家庭を対象に「子供見守りサービス」を今年9月から開始した。ネットワーク系SIerのネクストコムが機器を提供。現段階ではユーザー数を絞ったテスト的なサービスではあるものの、利用者から好評を得ている。来年4月から本格的にサービスを提供する予定。将来的には、子供だけでなく、高齢者にも提供するほか、バスの運行状況や雨量の調査など地域密着型サービスを追求していく。(佐相彰彦●取材/文)
蕨ケーブルがサービス開始
■蕨市2校の小学生を対象 通学路などに基地局を設置
蕨ケーブルビジョンが提供する「子供見守りサービス」は、検出装置「見守り基地局」で子供が所有するICタグを読み取るというもの。ICタグは、電波を利用して10メートル以上離れた場所でも認識が可能な「アクティブ型」を採用した。「見守り基地局」は、CATV幹線上に備え付けてあり、検出範囲が半径100メートル程度。蕨市内30か所に設置しており、市立の中央小学校と中央東小学校2校の通学路など学区内を対象としている。
子供が所有するICタグが基地局を通過すると位置情報が蕨ケーブルビジョンのCATVセンターに送られる仕組み。センターは、ユーザーである保護者が事前に登録した場所を子供が通った際にパソコンや携帯電話にメールで位置情報を知らせる。ユーザーは、小学校の正門を登録しておけば学校への到着を確認でき、自宅近くの基地局の登録で帰宅を把握できることになる。インターネットを通じた地図画像の位置情報サービスも用意した。ユーザーは、専用のホームページにアクセスすれば、メール通知後にリアルタイムで子供の居場所を確認できる。
蕨ケーブルビジョンの庄野拓也・総務部長は、「子供の保護者は、『学校に送り出したが、無事に到着したのか』とか、『そろそろ帰ってくる時間なのに戻ってこない』などの心配を抱えている。これは、近頃の状況から、危険な場所に近づくことや、犯罪に巻き込まれる恐れに敏感になっているため。そこで、リアルタイムに子供の居場所が分かるサービスが保護者の悩みを解決できると判断し、提供開始に踏み切った」としている。今年9月20日から試験的に無料サービスを開始。対象小学校の3年生以下の子供がいる家庭に対してモニターを募集した。開始当初は、100人程度を見込んでいたものの、予想以上に申し込みが殺到。現段階では150人程度にサービスを提供している。
システムは、ICタグなどのRFID関連機器をネクストコムが提供、メール通知や画像情報などのアプリケーションサービスは蕨ケーブルビジョンを中心に共同で開発した。投資額は約1000万円だった。低コストで構築が可能だったのは、「自前でシステムを開発した」(林真吾・技術部主任)ため。市内30か所に「見守り基地局」を設置する際には、蕨ケーブルビジョンが最適な設置場所を調査したことに加え、構築も行った。「通学路だけでなく、子供が遊びに行くことが多い場所をくまなく調べた」(同)という。ベンダーが提供するシステムを単に導入するだけでなく、最適なサービスの追求が低コストにつながった。しかも、ユーザーである保護者からは、「いつでも子供の居場所が把握できるため、安心して仕事に没頭できる」との声があがっており、ユーザーにとってメリットの大きいサービスとして位置づけられているようだ。
■来年4月に市内全域をカバー 将来的にサービス拡大も計画
蕨ケーブルビジョンでは、来年4月をめどにサービスを本格稼働する。本格サービス時には、市内全域のカバーを予定しており、140か所に「見守り基地局」を設置。価格を初期費用として2000円(ICタグ)、サービス利用料金として月額500円に設定する。庄野部長は、「開始当初は、500ユーザーの利用を見込む」としている。
ICタグを活用したRFIDは、商品にICタグを貼付してSCM(サプライチェーンマネジメント)で利用するだけでなく、店頭で商品情報を提供するなど付加価値サービスを追求できるシステムとして注目を集めている。
しかも、アクティブ型のICタグは法人市場では、重要書類の保管に活用されるなど、さまざまなシーンで利用が広がりつつある。
蕨ケーブルビジョンでは、将来的に子供の見守りだけでなく、高齢者の徘徊を対象としたサービスにまで広げることを計画。同システムの応用で、バスの運行状況や自動車の盗難防止、交通量や雨量の調査など、複数のサービス提供でICタグを活用することを視野に入れている。「光ケーブルの幹線で無線を生かし、どのようなサービスを提供できるかを追求していく」(庄野部長)。ICタグ活用のRFIDシステムが地域密着型のサービスを拡大するアイテムとして注目を集めそうだ。
ICタグなどRFIDシステムで子供を守る──。埼玉県蕨市でCATV(ケーブルテレビ)事業を手がける蕨ケーブルビジョンが小学生の子供を持つ家庭を対象に「子供見守りサービス」を今年9月から開始した。ネットワーク系SIerのネクストコムが機器を提供。現段階ではユーザー数を絞ったテスト的なサービスではあるものの、利用者から好評を得ている。来年4月から本格的にサービスを提供する予定。将来的には、子供だけでなく、高齢者にも提供するほか、バスの運行状況や雨量の調査など地域密着型サービスを追求していく。(佐相彰彦●取材/文)
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