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「COMPUTEX TAIPEI 2006」 大手メーカー、OEMで新分野に参入 パソコン関連からの脱皮へ
2006/06/19 14:53
週刊BCN 2006年06月19日vol.1142掲載
2006年6月6-10日、台湾台北市で国際コンピュータショー「COMPUTEX TAIPEI 2006」が開催された。今回のショーでは、マザーボードをベースにベアキットPCなどの製品を販売する大手台湾メーカーの多くが、デジタル家電分野でのマザーボード拡販など、再度OEMビジネスの拡大に意欲を見せていた。一方、法人向けビジネスが中心のベンダーは、ワイヤレスやスカイプなどへの対応でネットワーク関連システムの提案に力を入れた。(佐相彰彦●取材/文)
■自社製品をアピールするアスース 2位以下は事業領域の拡大へ
パソコンやマザーボードなど個人向け製品の展示が多いホール2。ここでは、アスーステック・コンピュータやギガバイト、エーオープン、ベンキューなど台湾の大手メーカー各社が大規模なブースを設けていた。
マザーボード市場でトップシェアを誇るアスースのベンソン・リン・セールス&マーケティング部門ゼネラルマネージャーは、「自社ブランド製品とマザーボードのOEMは、現段階で売上比率が45%対55%になっている。近い将来には、この比率を逆転させる」と力を込める。
COMPUTEXへの展示は、ワールドワイドの個人ユーザーにブランド力を向上させることが目的だ。
一方、マザーボード市場で2位以下のメーカーはパソコン関連ビジネスからの脱皮がCOMPUTEX参加の狙い。ディストリビュータやSIerなど各国のバイヤーに対して、デジタル家電や法人向けシステムでマザーボードが活用できることをアピールしていた。
エーオープンでは、「マザーボード市場は、下り坂の方向に進んでいる。そのため、今後は高機能の製品を提供することに加え、パソコン以外の製品と融合していくことが重要」(ビンセント・チョー・ソリューションブロダクツビジネスユニット担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー)とし、独自技術の「MODT」を武器にデジタル家電やゲーム機などに対応したマザーボードの拡販を図る。
「MODTを搭載した自社ブランドのデスクトップパソコン『miniPC』の販売も増やしていくが、パソコン業界とは異なった領域で新しいパートナーを獲得したほうがビジネス領域を広げられる」というのが理由。自社製品への搭載を含めてMODTマザーボードの販売を06年度(06年12月期)に100万セットを見込む。
ギガバイトでも、「今年度(06年12月期)上期の売り上げは前年同期並みになる見通しだ。市場は、インテルがデジタル家電向けプラットフォーム『ビーブ』を発表するなど、これまでとは異なった方向に進んでいる。新しい分野への参入が挽回のカギ」(トニー・リアオ・マーケティング部門バイスプレジデント)としている。低価格製品などボリュームゾーンのマザーボードについては中国やインドなど未開拓地域で拡販を進めていく半面、高性能のマザーボードをベースに他業界へのシステム開発を増やしていく。今年4月には、ビジネス領域の拡大を目的として子会社「ギガゾーン・インターナショナル」を設立。同社は、新市場への参入を視野に入れ、マザーボードを軸にシステム提案を行っており、このほど監視カメラシステムの案件を獲得したという。
他業界への参入は、「当社の知名度を高めることに加え、開発システムを自社ブランドでパッケージ化するなど、販売の幅が広がることがメリット」(ギガゾーンのアレックス・クオ・グローバルビジネスディベロップメントグループ・中国&アジア地域セールスディレクター)としている。
■法人向けシステムは例年通り活気 ネットワーク軸にブランド向上へ
法人向けシステム開発を手がけるメーカーのブースでは、来場者がワイヤレスやセキュリティ関連のネットワークシステムに関心を示していた。そのため、これまでは欧米や日本のベンダーに対してOEM提供を行うケースの多かったメーカーが自社ブランドでの販売を加速させている。
IP-PBXを中心にワイヤレスPBXやWi-Fi携帯端末、IP電話機などの販売を手がけるセナノでは、「最近では大企業だけでなく、中小企業でもモバイルソリューションを導入する傾向が高まっている。また、中国やロシアなどではIP-PBXの導入機運が高まっている。COMPUTEXを通じてワールドワイドにアプローチをしていきたい」(広報担当者)と意欲を燃やす。ほかにも、台湾で企業のスカイプ需要が増大していることから、ゲートウェイ機能を搭載したスカイプ向けのIP-PBXを展示するメーカーも目立った。
今回のCOMPUTEXでは、大手マザーボードメーカーが他業界へのOEM提供を重要視し、法人向けビジネス中心のメーカーが自社ブランドの認知度向上を徹底している姿を垣間見た。なかでも、マザーボードメーカーによるOEMビジネスへの再シフトは、「ワールドワイドのパソコン市場で、欧米を中心に低価格の波が進んでいる。パソコン向けマザーボード販売だけでは利益減になる」(エーオープンのチョー・バイスプレジデント)との判断からだ。個人向けビジネスを拡大するためには、パソコン関連市場だけを見据えていたのでは生き残れないことを物語っている。
2006年6月6-10日、台湾台北市で国際コンピュータショー「COMPUTEX TAIPEI 2006」が開催された。今回のショーでは、マザーボードをベースにベアキットPCなどの製品を販売する大手台湾メーカーの多くが、デジタル家電分野でのマザーボード拡販など、再度OEMビジネスの拡大に意欲を見せていた。一方、法人向けビジネスが中心のベンダーは、ワイヤレスやスカイプなどへの対応でネットワーク関連システムの提案に力を入れた。(佐相彰彦●取材/文)
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