その他
「会社法」対応版ソフト相次ぎ登場 中小企業向けに早期需要見込む
2006/05/22 14:53
週刊BCN 2006年05月22日vol.1138掲載
5月1日の「会社法」施行を受けて、中小企業向け製品を主力とする会計ソフトベンダーは、5-6月の間に相次ぎ同法対応製品を投入する。中堅企業の上位層から大企業向けの会計ソフトやERP(統合基幹業務システム)をメインとする業務ソフトベンダーに比べ、「早期の需要が見込める」と、迅速に対応した。会計情報の透明性確保に無頓着な中小企業でも、会計ソフトを導入して企業会計全般を見直す機運が高まると見ているためだ。
非「自計化」企業への訴求がカギに
「株式会社」はこれまで、決算書(貸借対照表・損益計算書)を公告する必要があった。だが、「中小企業の大半はこれを遵守していない」(あるベンダー担当者)のが現状。会社法制定により、公告を厳密に運用しないと、「会社の信頼性を保持できなくなる」(同)と、中小企業がソフトを利用して財務会計分野の透明性を高める動きが高まると予想され、ピー・シー・エー(PCA)の折登泰樹・専務取締役が語るように「消費税制登場と同レベルのインパクトがある」と、業界全体で“特需”の期待が大きい。
PCAは他社に先駆け、5月初旬に対応版ソフトを出荷した。5月下旬には、ミロク情報サービスや弥生などが、対応版を出し、セミナーを開催するなどで啓蒙活動を開始した。対するオービックビジネスコンサルタント(OBC)は6月下旬までに既存の全会計ソフトを対応版に切り替える。応研も6月中に「大蔵大臣」と「建設大臣」向けに対応プログラムを提供する計画だ。
それぞれの対応版には「大きな機能差はない」というのが各社の一致した見方だ。ただ、PCAは「会社法適用前の科目体系と会社法適用後の科目体系の選択ができる」(亀井俊宏・営業本部企画室課長代理)と、他社との差異を打ち出し売り込んでいく。既存顧客に対しては、多くが無償アップデートする。ミロク情報サービスなど会計事務所にシステムを導入するベンダーは、「税制ではなく、商法の改正であり、勘定科目のコンバージョンなどが大変」(ミロク情報サービスの櫻井義人・営業本部企業ソリューション事業部事業部長)なので一部有償化し、同社関連の会計事務所を活用した移行サポートを強化する。
OBCは、「勘定奉行シリーズ」を導入し、保守契約をしている全企業に対し、無償でアップデート版を提供する。加えて、同社製品の利用方法を導入企業向けに教育する全国の「ユースウェア事業認定店」に対しては、それ以前に対応版を支給し、移行作業などに戸惑う企業のサポートを急ぐ。OBCの保守契約数は導入企業の約7割。同法施行を受け、「新規獲得だけでなく、保守契約率も上げられる」(マーケティング担当)という。一方で、保守が未契約の企業は、同法施行を機に、競合他社が入り込む余地があるとして、各社の動きに警戒感を強めている。
パソコン量販店では、弥生が全店のパッケージ出荷と同時に「新会社法対応」と銘打った新パッケージに入れ替えた。対応版は、過去のバージョンアップに比べて目標値が高く、店頭販売だけで年間1万本を見込む。さらに、会計事務所会員「弥生PAP」経由のアプローチも強化。「新たに定められた会社法の認知度を高め、当社製品の導入を促進する」(藤崎敏弘・プロダクトマネジャー)考え。会社法の下では、資本金1円でも株式会社の設立が可能なため、「起業家向けのプロモーションを開始する」(同)計画である。
OBCやOSKなど、中堅企業の下位層に顧客をもつベンダーは、会社法が企業会計の内部統制強化をうたっていることから、「日本版SOX法と関連させ、セキュアなシステム環境を企業に薦める」(OSKの田中努・専務取締役)という。OBCは「奉行シリーズと連携するワークフローやドキュメント管理製品などを強化する」(マーケティング担当)と、製品アライアンスのパートナーを拡充しようとしている。
会社法は企業規模にかかわらず、すべての企業が影響を受ける。消費税創設時に匹敵する需要を見込むのも無謀な話ではない。中小企業といえども、取引先の大手企業などから、「与信管理」などを理由に会計情報をスピーディに開示することが求められるケースが増える。現状、会計ソフトなどITを利用して自社内で会計処理をする「自計化」をしている中小企業は、全体の3割といわれる。起業家だけでなく、非「自計化」の企業に対し、どう訴求していくかが課題だ。
5月1日の「会社法」施行を受けて、中小企業向け製品を主力とする会計ソフトベンダーは、5-6月の間に相次ぎ同法対応製品を投入する。中堅企業の上位層から大企業向けの会計ソフトやERP(統合基幹業務システム)をメインとする業務ソフトベンダーに比べ、「早期の需要が見込める」と、迅速に対応した。会計情報の透明性確保に無頓着な中小企業でも、会計ソフトを導入して企業会計全般を見直す機運が高まると見ているためだ。
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