ここ数年続く情報システムのオープン化は、ハード保守サービスの単価下落を引き起こしている。保守サービスの単価は、ハード価格に比例する。メインフレームからオープン系システムへの移行が進むほど、ハードの保守サービス事業は厳しくなる。
保守単価の下落は今後も続く
運用サービス拡大には手ごたえ
この単価の下落は、06年も続くという見方で各社一致している。NECフィールディングの富田克一社長は、「前年度比10%程度の単価下落は覚悟している」と語る。ハードの品質が向上したことで、年間の保守サービス契約を結ぶ企業が減少していることも低迷要因だ。
そのため、各社はマルチベンダー対応や、価格下落の影響が小さいソフトの保守サービスを強化している。
ただ、運用監視サービスやアウトソーシングなどIT関連サービスが堅調に伸びていることが好材料だ。ユニアデックスは、システムの運用監視サービスを提供する拠点とセキュリティ監視施設を開設し、サービス体制を強化。日立電子サービスでは、日立オープンプラットフォームソリューションズ(OPSS)との合併で、システム構築や運用サービスを提供できる体制を整えた。「ITIL」に準拠した運用サービスも出揃い、各社の注力ポイントになっている。
ハード保守サービスの単価下落は、06年も続きそう。ただ、実際は保守サービス事業の割合は、ほとんどが半分を下回っており、主力事業といい難い面がある。全体の業績を左右するのは、成長が期待できるIT関連サービスになるだろう。CEのあり方も変化し、営業も兼ね備える“提案型CE”などへのスキルアップが必要になってくる。
保守サービスの単価下落を踏まえながら、全国を網羅する拠点とCEを生かし、いかに運用サービスを伸ばせるかが各社の明暗を分けるポイントになるだろう。
●NECフィールディングが中国保守サービスベンダーと合弁で中国北京市に子会社を設立。
●ユニアデックスが「マネージドサービスセンター」を設立。サポートとシステム運用監視機能を集約。
●日立電子サービスが日立オープンプラットフォームソリューションズ(日立OPSS)と合併した。
●リコーテクノシステムズがリコーグループの保守サービス部門を集約。約470か所のサービス拠点、約5000人のカスタマーエンジニア(CE)を擁する。
運用サービスやアウトソーシングなどITサービスでは、引き合いが強く好材料となることは間違いない。保守サービスは単価が落ちるが、その分顧客を増やせば問題ない。
ハードの対応機器拡充やマルチベンダー対応、ソフトサポートの強化で、オープン化による単価の下落を、少しは抑えることができるだろう。
単価の下落は今後も続く。保守体制の見直し程度ではこの下落幅を補うことはできない。新たな付加価値保守サービスモデルが必要。