沖データ（前野幹彦社長）が、欧州ビジネスを順調に拡大している。システムインテグレータ（SIer）を中心に強力な販売チャネルが構築されており、05年度（06年3月期）の売上高も前期比4％増の739億円を達成する見通しだ。同社の売上高全体の半分以上を占めている欧州ビジネスが順調に推移しているうえに、その好影響が他の地域へと波及。グループ全体の05年度売上高は、同11％増の1571億円と２ケタの高い伸びを達成できると予想している。さらに欧州ではSIer系に加えて今後、事務機系パートナーの獲得に乗り出し、販売チャネルの充実を図っていく考えだ。（佐相彰彦●取材／文）

A4カラーMFP、西欧地域で2位の座を確保

　欧州子会社のオキヨーロッパは、SIを中心した販売パートナーのネットワークを構築してきた。パートナー企業が持つアプリケーションと同社のプリンタを組み合わせてユーザー企業に提供するビジネスを中核に位置付けている。

　アンドリュー・モトゴメリー・オキヨーロッパ社長は「パートナー各社と個別にパートナーシップを築いたことで、顧客企業のニーズに合ったソリューションを提供できる点に強みがある」と強調。「パートナーのPR活動に対する資金援助も行っている」ことが、アクティブなパートナーが増加した要因と分析する。ニーズに合ったソリューションの提供と、積極的なパートナー支援策が欧州ビジネスを拡大させてきた。

　西欧地域におけるA4カラーMFP（マルチファンクションプリンタ）市場において、同社は05年度第2四半期に18％のシェアで2位の座を獲得。なかでも、スペイン市場では47％もの高いシェアを獲得し、世界トップシェアのヒューレット・パッカードを上回る。スペインでは「パートナーと、当社ブランド以外のプリンタは売らない、という強固なパートナーシップ契約を結ぶことに成功した」ことが力となった。

　大企業向けビジネスでは、需要を掘り起こすための「コーポレートアカウントチーム」を設置して、パートナーと共同で新規顧客の開拓を進めている。

　一方、中小企業向けビジネスでは、「eコマースを活用しながら、いかに効率良く中堅顧客を獲得していくかがポイント」と認識。パートナーとの連携も、「ウェブで注文を受けた場合でもパートナーを通じて販売することを徹底している。チャネルを通さずにウェブビジネスで拡販を図っている競合他社とは異なる」と、共存共栄を図っている。

　欧州ビジネスは、04年度の売り上げ比率で全体の50％を占める、まさに中核の事業。今後は「SIに加えて、コピー機などを販売している事務機系のパートナーも増やす」ことにしており、近く事務機系販社向けのプリンタを市場に投入する計画だ。