その他
国内パソコン市場が回復 法人、個人ともに前年度比増に
2005/05/16 15:00
週刊BCN 2005年05月16日vol.1088掲載
国内パソコン市場が回復に向かっている。電子情報技術産業協会(JEITA)によれば、2004年度(04年4月-05年3月)の国内パソコン出荷実績は台数ベースで1207万5000台(前年度比12%増)、金額ベースで1兆7336億円(同8%増)と、台数と金額ともに増加。しかも、法人向け市場、個人向け市場もそれぞれ前年度を上回ったという。JEITAでは、05年度の出荷台数についても1280万台(前年度比6%増)と予測。しかし、金額については、単価下落が進むことから前年度並みと見ている。(佐相彰彦●取材/文)
05年度は台数で成長、金額は横ばい予測
■台数はピーク時の00年度並み
04年度の国内パソコン出荷台数は、前年度比12%増の1207万5000台と2年連続で2ケタ成長を達成した。片山徹・JEITAパーソナルコンピュータ事業委員会委員長は、「パソコン市場がピークに達した00年度と肩を並べる実績」と、パソコンの出荷台数が再び拡大路線に入ったとしている。金額ベースでは1兆7336億円。03年度が前年並みの1兆6120億円であり、低価格化が言われながらも台数と金額ともに回復を遂げた。
これは、「Y2K問題からのリプレースおよび増設などが03年度から持続している。それに加えて、IT投資促進税制など税制が下支えして中小企業の需要が多かったといえる。法人向け市場がけん引した」(片山委員長)ことが要因としている。
個人向け市場も伸びている。03年度は、台数ベースで前年度並みだったものの、「04年度は前年度を数%上回っており、回復の兆しが出てきた。夏商戦では、猛暑やアテネオリンピックでエアコンや薄型テレビに需要が集まったが、冬商戦がピークを迎えた年末にパソコンの買い替えと買い増しユーザーが増えた。その傾向は年が明けても続いている」(片山委員長)という。
JEITAでは、「デスクトップ型で主流になっているAV(音響・映像)機能搭載パソコンが依然として人気を集めている。加えて、ノート型でも冬商戦モデルからAVパソコンが増えたことにより、秋口以降にノート型の需要が増大した」(同)ことを拡大要因として挙げている。
■懸念材料は価格下落
JEITAでは、法人向けで企業のIT投資拡大や個人情報保護法の全面施行によるセキュリティの必要性などでリプレース需要が続くことや、個人向けでAV機能強化による買い替えと買い増しユーザーが増えるなどで、05年度の出荷台数を04年度に比べ6%伸びて1280万台と見込む。
なかでも、「個人向け市場は、昨年度のようなパソコン需要が奪われる要因がないことから、昨年度よりも伸びるだろう」(片山委員長)とみる。そのため、パソコンメーカーでは個人向け市場でAV機能をさらに追求した製品の発売に力を入れ、ビジネスを拡大させようと躍起になっている。
富士通は、デスクトップ「FMVデスクパワー」シリーズに大画面32型ワイド液晶一体型の「TX」シリーズを市場に投入した。「パソコンでテレビを見ることが当たり前になり、大画面化のニーズが高まっている」(伊藤公久・経営執行役パーソナルビジネス本部長)ためで、「パソコンをベースに新しい市場を切り拓く」(同)と自信をみせる。
東芝は、「05年は、当社にとってパソコンビジネス20周年という節目の年。差別化技術で潮流の変化に対応していく」(能仲久嗣・PCネットワーク社社長)と、高画質が特徴のノートパソコン「コスミオ」で培ったAV技術をモバイル型の「リブレット」にも搭載した。
しかし、懸念材料も残る。05年度の出荷金額については、「前年度並みにとどまる」(片山委員長)と予測。04年度第1四半期の時点で14万6000円だった平均単価は、第4四半期で14万円まで下がっていることが原因だ。
「単価下落は当面続く可能性がある」(片山委員長)という。パソコンビジネスは依然として、コスト削減を徹底しなければ台数は伸びても利益が出ない、台数を伸ばすために低価格化に走るという悪循環に陥る危険性を秘めている。
国内パソコン市場が回復に向かっている。電子情報技術産業協会(JEITA)によれば、2004年度(04年4月-05年3月)の国内パソコン出荷実績は台数ベースで1207万5000台(前年度比12%増)、金額ベースで1兆7336億円(同8%増)と、台数と金額ともに増加。しかも、法人向け市場、個人向け市場もそれぞれ前年度を上回ったという。JEITAでは、05年度の出荷台数についても1280万台(前年度比6%増)と予測。しかし、金額については、単価下落が進むことから前年度並みと見ている。(佐相彰彦●取材/文)
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