日立情報システムズ(堀越彌社長)は、サーバーアウトソーシングビジネスの拡充に乗り出した。4月1日付で専門組織「全国アウトソーシング拡販本部」を設置し、全国19か所のデータセンターを活用するビジネスの強化に着手した。現在のアウトソーシング事業は顧客数約750社、サーバー数6000台。売上高は約300億円。これを2007年度(08年3月期)までに新規顧客500社を加え、サーバー数1万台、売上高500億円の事業に育てる考えだ。
07年度にサーバー1万台、売上高500億円へ
日立情報システムズは、昨年4月1日付で吸収合併した日立製作所子会社の日立ネットビジネスが保有していたデータセンターを含め、全国に19か所のデータセンターを保有している。日立製作所グループにあって、アウトソーシングビジネスを受け入れる体制ができている。
これらを活用しアウトソーシングビジネスを拡大するため、4月1日付で「全国アウトソーシング拡販本部」を設置した。同本部は公共や流通など業種別の7事業部のほか、全国5支社にもスタッフを置き営業全体で約60人、事業本部全体では約80人体制で、アウトソーシング案件の受注拡大を目指す。
新組織の発足に伴い、アウトソーシングソリューション専用のウェブサイト(
server-outsourcing.jp)も開設した。ウェブではアウトソーシングの事例などを公開し、ウェブマーケティングを一層進める。
「4月1日に開設したばかりだが、すでに6件の引き合いが出ている」(岩下利幸・アウトソーシングセンタ事業部全国アウトソーシング拡販本部本部長)と、反応は上々という。同社の場合、既存アウトソーシング事業の売上高の40%程度を占める顧客が売上高1000億円以上の大企業だが、売上高300億円以下の中堅・中小企業(SMB)も44%を占めているという。
今後、SMB領域からは新規の情報システム委託案件の獲得を目指す。また、金融をはじめとした大企業からは、TCO(システム総保有コスト)削減を目的としたアウトソーシングだけでなく、「バックアップセンターとしてのニーズも高まっている」(岩下本部長)という。
さらに、自治体をはじめとした公共分野でも、財政難の影響などからアウトソーシングによる運用コスト低減などの期待が高まっている。
こうしたニーズを背景に日立情報システムズでは、19か所のデータセンターをベースにしたアウトソーシングの受注に力を入れることにした。現在は首都圏や関西圏に集中しているデータセンターについて、日立情報システムズのデータセンターと旧日立ネットビジネスのデータセンターが重複している地域での統合や、能力が限界に近づいているセンターの増強などをはじめ、全国各地のニーズに対応した地方展開など設備投資も積極的に行っていくという。
日立情報システムズは、データセンターを活用したITビジネスを提供するCBO(センター・ベースド・オペレーション)事業を打ち出しており、全国アウトソーシング拡販本部の設置もその一環。