その他
IT資産管理ソフト、SMBにも普及始まる セキュリティや低価格などアピール
2005/03/21 15:00
週刊BCN 2005年03月21日vol.1081掲載
IT資産管理ソフトの導入機運が中堅・中小企業(SMB)市場で高まっている。これまでIT資産管理ソフトのユーザーは大企業が中心だったが、低価格のライセンス診断サービスの登場や今年4月から全面施行される個人情報保護法が追い風となり、セキュリティやコンサルティングを切り口とした用途提案などが受け入れられ始めた。ベンダー各社にとってIT資産管理ビジネスは、SMB市場で新規顧客を開拓する有力なきっかけとなるほか、販売後のサポート、バージョンアップなどで安定した収益も見込める。SMB市場に需要の裾野が広がることで、IT資産管理ビジネスは次なる成長ステップを迎えそうだ。(佐相彰彦●取材/文)
成長路線の手堅いビジネスに
■複合提案が顧客獲得のカギ
IT資産管理ソフトを拡販するうえで重要なのは、顧客企業それぞれのニーズを汲み上げ、いかに用途提案ができるか。このため、IT資産管理ソフトの販売やASP(アプリケーションの期間貸し)サービスを手がけるシステムインテグレータやソフト開発会社は、さまざまな切り口での提案体制を整え、システム案件の獲得に力を入れている。
コアでは、IT資産管理ソフト「アイタム」をはじめ、デスクトップ内にあるソフトのライセンス管理を行う「アイタム・スキャン」、資産ライフサイクル管理の「アイタム・ワークフロー」を組み合わせ、「IT管理ソリューション」として提供している。IT資産管理ビジネスで今年度(2005年3月期)に7億円の売り上げを見込んでいるが、05年度には「最低でも10億円を目指す」(大内幸史・新規・特別事業カンパニーネットワークソリューション事業部長)と意気込む。
大内事業部長は、「販売を伸ばすポイントは、各種台帳管理などの資産データベースがTCO(システム総保有コスト)の削減やIT投資の効率化につながる点を提案していくこと」とし、企業戦略のコンサルティングサービスを切り口としたソリューションを提供し始めている。IT資産管理ビジネスが新しい段階を迎えており、「こうした提案は、中小企業の導入機運の高まりにもつながっている」と話す。
一方、大塚商会では、「現段階では、セキュリティを切り口とした提案が最適」(北川達史・マーケティング本部テクニカルプロモーション部課長)と見る。
同社は昨年夏に9社からなる「情報漏えい防止ソリューション」を提供するための企業連合を結成。現在提案しているソリューションには、クオリティが開発したパソコンの適正化と維持運用管理が可能な「QNDα」などのIT資産管理ソフトが含まれており、着々と顧客企業を増やしている。「SMBにIT資産管理ソフトを拡販するには、複合提案がポイントになる」(北川課長)との判断が働いたようだ。
■低価格化が進行
丸紅インフォテックでは、クライアントパソコンにインストールされているソフトの使用状況を調査する「わんショットインストール診断サービス」を提供している。SMBが手軽にサービスを利用できるよう、クライアントパソコン100台の診断で9万8000円からと低価格に設定した。
SMBに焦点を当てたのは、「IT資産管理ソフトを導入しているケースはまだ少なく、個人情報保護法の全面施行を前に、社内のITリソースがどのような状況になっているかを調べたいというニーズが高まっている」(国府健一・ソフトカンパニー担当部長)ため。「IT資産管理システムを構築するには、費用などの面で踏み出せないでいる企業も多いが、まずは診断サービスでソフトの使用状況を把握しておきたいという要望は強い」と手応えを感じており、「1年間で1000社への導入」(同)を見込む。
低価格という点では、コアが「アイタム」シリーズを、通常価格の20-30%引きで販売を始めた。これは、「価格を下げてもサポートなどで収益が確保できる。SMBという新規顧客を開拓するには、多少のアピールも必要」(大内事業部長)との狙いからだ。
IT資産管理ソフトを導入するユーザー企業は、「バージョンアップ対応や関連サービスの追加などにつながるケースも多く、“顧客離れ”が少ない」(大塚商会の北川課長)という。IT資産管理ソフトの新しいマーケットに成長しつつあるSMB市場で、顧客企業の囲い込みが早くも白熱化しつつある。
IT資産管理ソフトの導入機運が中堅・中小企業(SMB)市場で高まっている。これまでIT資産管理ソフトのユーザーは大企業が中心だったが、低価格のライセンス診断サービスの登場や今年4月から全面施行される個人情報保護法が追い風となり、セキュリティやコンサルティングを切り口とした用途提案などが受け入れられ始めた。ベンダー各社にとってIT資産管理ビジネスは、SMB市場で新規顧客を開拓する有力なきっかけとなるほか、販売後のサポート、バージョンアップなどで安定した収益も見込める。SMB市場に需要の裾野が広がることで、IT資産管理ビジネスは次なる成長ステップを迎えそうだ。(佐相彰彦●取材/文)
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