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韓国IT産業、キーワードは「IT839」 情報通信部、郵貯利用し新戦略
2004/10/18 15:00
週刊BCN 2004年10月18日vol.1060掲載
9月初めから韓国の全国郵便局では特殊な名前の積立貯金が販売され始めた。「IT839」という名前の積立貯金がそれである。まるで暗号のようなこの貯金は、デジタルテレビの大衆化のため、韓国・情報通信部が傘下機関である郵便局を通じて意欲的に売り出した商品だ。この貯金に加入すれば、デジタルテレビ購入資金として最高500万ウォン(50万円)まで郵便局から融資してもらえる。(鄭載学(ジョン・ジェハク=BCNソウル特約記者)●取材/文)
8大サービス、3大インフラ、9大成長分野
■U-Koreaの具現化目指す
情報通信部は、90年代後半にもブロードバンド普及のため、パソコン購入資金を貸し出してくれるインターネットパソコン積立貯金を売り出したことがあった。この貯金は大当たりし、実際にたくさんの人々がまとまったお金がなくても最新仕様のパソコンを購入できたので、ブロードバンドの全国普及にも大きな役割を果たすことになった。
IT839という名前には韓国IT産業の未来がそっくりそのまま染み込んでいる。韓国のIT市場を導く20(8+3+9)の産業分野を指称しているからだ。積立貯金の名前にまで登場したように、もうIT839はIT業界の関係者だけでなく一般の人までもが、嫌でも耳が痛くなるほど聞こえてしまう言葉になってしまった。
IT839とは、高速無線アクセスサービス(携帯インターネット)WiBro、デジタルマルチメディア放送DMB、広帯域コード分割多重接続W-CDMA、インターネット電話VoIP、ホームネットワーク、テレマティックス、RFID(無線タブ)、地上波デジタルTVの「8大成長産業」に加えて、これを支える広帯域統合網BcN(ブロードバンドコンバージェンスネットワーク)、Uセンサーネットワーク、次世代インターネットIPv6の「3大インフラストラクチャー」、さらに次世代移動通信、デジタルTV、IT SoC、ホームネットワーク、エンベデッドSW、次世代パソコン、デジタルコンテンツ、テレマティックス、知能型ロボットの「9大成長分野」を指している。
韓国政府はIT839戦略を通じてU-Koreaを具現するというビジョンを持っている。キム・デジュン政権のITキャッチフレーズがブロードバンドを基盤にしたe-Koreaだったが、ノ・ムヒョン政権のIT戦略は今後の成長が予想されるユビキタスを基盤にしたU-Koreaだ。
IT839プロジェクトがフル稼働すれば、韓国の国内総生産(GDP)のうちIT産業の占める比重が19.7%に上昇し、10年以内に111兆ウォンの生産誘発效果を期待できると見込まれている。
韓国経済が厳しい状況に置かれていても、IT部門の輸出はそこそこ好調だった。特に携帯電話、フラッシュメモリ、液晶ディスプレイの3分野はIT産業の輸出を拡大に導いた指折りの親孝行分野である。
しかし、この3分野の好調の勢いがいつまで続くだろうか。こればかりは、韓国政府も確信を持っているわけではない。
また、携帯電話の場合、主要な基盤技術は日本や米国に依存しているため、韓国での成長に限界があるという認識も広まっている。このためにIT839戦略はIT分野の基盤技術を土台にして、2000年代の新しい成長分野を探し出すという使命を負わされている。
■国民所得2万ドル時代へ
IT839戦略はIT産業だけの問題ではない。韓国はこの10年間、年間の国民所得1万ドルの壁を超えられないでいる。この壁を越え、国民所得2万ドル時代へと移行できる体力をIT産業から探し出そうとしている。その具体的な実行方法がIT839戦略というわけだ。8+3+9=20という公式は、つまり「国民所得2万ドルの悲願」をも意味しているのである。
しかし、壮大な国家戦略にも関わらず、IT業界と一般の人々の反応は鈍いというのが実情だ。9月初めから開始されたIT839積立貯金は予想とは裏腹に人気薄である。
その一方で、IT839戦略に情報通信部がかける期待と執念はすごい。情報通信部ジン・デジェ大臣は自分の自動車ナンバーを8390番に変えたほどだ。政府主導のIT839関連戦略会議も続々と開かれている。該当産業の標準化と業者選定などの作業も早い速度で進んでいる。IT839戦略に韓国IT産業の未来がかかっているのは確かである。
9月初めから韓国の全国郵便局では特殊な名前の積立貯金が販売され始めた。「IT839」という名前の積立貯金がそれである。まるで暗号のようなこの貯金は、デジタルテレビの大衆化のため、韓国・情報通信部が傘下機関である郵便局を通じて意欲的に売り出した商品だ。この貯金に加入すれば、デジタルテレビ購入資金として最高500万ウォン(50万円)まで郵便局から融資してもらえる。(鄭載学(ジョン・ジェハク=BCNソウル特約記者)●取材/文)
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