その他
米デル、営業利益率8.6%を達成 中期経営目標は売上高600億ドル
2004/03/01 21:12
週刊BCN 2004年03月01日vol.1029掲載
米デルがこのほど発表した2003年度(04年1月期)の決算は、売上高が前年度比17.1%増の414億4400万ドル、営業利益は同24.6%増の好決算となった。営業利益率は8.6%と、競合他社を遙かに凌ぐ高さを誇る。回復基調にある米IT産業のなかで、その好調ぶりは突出している。この背景に「デルモデル」と呼ばれる同社の基本戦略が大きく影響しているのは周知の通り。そして、このデルモデルがエンタープライズとコンシューマ・エレクトロニクス分野にも活用され始めた。マイケル・デルCEO、ケビン・ロリンズCOOをはじめとする同社幹部の取材を通じて、その強さの源泉を追った。(大河原克行(ジャーナリスト)●取材/文)
「デルモデル」はどう進化するのか?
■高品質な製品を短期間に低コストで
営業利益率8.6%というパソコンメーカーとしては異常ともいえる収益率を達成した米デル。デルCEOは、この理由を3つの観点から話す。
「1つは、効率的なビジネスモデルを持ち、価値を顧客に提供し続けていること、2つ目には、エンタープライズのサーバー、ストレージ、サービスから、コンシューマ向けの製品まで幅広いラインアップを取り揃え、これらをミックスした事業展開が推進できた点。そして最後に、新たな国や新たな市場への参入を含め、規模の追求および生産性を改善できたことが挙げられる」
デルCEOが触れる「効率的なビジネスモデル」とは、一般的に「デルモデル」と呼ばれる仕組みだ。
標準化された技術や部品、生産手法を活用することで、品質の高い製品を大量に、短期間に、そして低コストで生産。メーカーダイレクトの流通手法によって、低コスト体質での製品供給を行うというものだ。
そして、このモデルの応用範囲が従来のデスクトップパソコンやノートパソコンといったクライアント製品だけでなく、サーバー、ストレージ、コンシューマなどの領域へと広がっており、事業規模の拡大とともに高い収益性の維持へとつながっている。
図のS字曲線は、デルモデルの基本的な考え方を示したものだ。
左側の独自技術の世界ではコストが高く、デルの事業モデルには合致しない製品や技術となる。それが時間の経過や技術の進化とともに、スタンダード化が進展。中央のスタンダダイジングの領域に入ってきた段階で、デルが参入するタイミングに突入することになる。そして、1番右の領域が最も標準化が進んだ段階となり、デルモデルの効果が最大に発揮されるというわけだ。
■利益率から絶対利益額重視へ
デルによると、2ウェイ/4ウェイサーバーはすでにスタンダダイジングの段階に入っているが、8ウェイ以上のサーバーはこの図のなかには含まれない。「わずか5%の出荷台数シェアしかない8ウェイは、デルモデルの対象にならない」(スティーブ・フェリス・バイスプレジデント)からだ。同社が2ウェイサーバー同士を接続するスケールアウト戦略を推進しているのも、このデルモデルを追求した結果といえる。
デルは中期の経営目標として、売上高600億ドルを目指している。
「この実現にはPCサーバー、PCクライアントといった当社のコアビジネスに加えて、コアを囲むS&P(ソフト&ペリフェラル)やサービス、ストレージによる事業の拡大が不可欠」とロリンズCOOは語る。そして、まわりを囲むこれらの事業が今後、デルモデルの領域に入ってくるのは明らかだ。
だが、サービス事業では一部でパートナー戦略に乗り出すなど、直販主導のこれまでの手法とは異なる手を打たざるを得ない状況も出てきている。実際、プロフッェショナルサービスではパートナーへの依存比率は8割を占める。これが、今後のデルモデルの収益性に影響を与える可能性もある。
デルCEOは、「今後は営業利益率よりも、利益の絶対額を重視する」として、利益率のさらなる上昇がほぼ限界に達していることを匂わせるコメントをする。事業拡大とともに、収益確保の手法も転換期にある。それに向けて、デルモデルがどう進化を遂げるのだろうか。今後の注目点ともいえる。
米デルがこのほど発表した2003年度(04年1月期)の決算は、売上高が前年度比17.1%増の414億4400万ドル、営業利益は同24.6%増の好決算となった。営業利益率は8.6%と、競合他社を遙かに凌ぐ高さを誇る。回復基調にある米IT産業のなかで、その好調ぶりは突出している。この背景に「デルモデル」と呼ばれる同社の基本戦略が大きく影響しているのは周知の通り。そして、このデルモデルがエンタープライズとコンシューマ・エレクトロニクス分野にも活用され始めた。マイケル・デルCEO、ケビン・ロリンズCOOをはじめとする同社幹部の取材を通じて、その強さの源泉を追った。(大河原克行(ジャーナリスト)●取材/文)
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