その他
大手ITベンダー、業績回復傾向が鮮明に 電子部品など増益に貢献
2004/02/16 15:00
週刊BCN 2004年02月16日vol.1027掲載
大手ITベンダーの今年度(2004年3月期)の第3四半期連結業績が出揃った。ソニーがリストラの継続で減益となったほかはいずれも回復基調に乗った。前年同期に最終損失を計上していた日立製作所、東芝、NEC、富士通はいずれも黒字転換を果たした。景気回復の光が見えてきた中で、各社とも業績が上向く傾向がはっきりしてきたといえそうだ。(川井直樹(本紙副編集長)●取材/文)
コンピュータ事業は低調
■リストラが進み利益は改善
第3四半期は、事業構造改革や製品単価の下落などで売上高の伸びは低調だった。しかし、リストラが着実に進んだことで、利益を大幅に改善したメーカーが多い。営業損益では、富士通が前年同期の131億円の赤字から101億円の黒字へと232億円の改善を果たした。東芝は前年同期比5.8倍の140億円、三菱電機も同4.5倍の273億円となった。いずれも半導体や液晶パネルなど電子デバイス部門の利益率が大幅に向上したことが要因。東芝が液晶事業で黒字転換となったほか、NECも半導体の収益力が改善するとともに、液晶やPDP(プラズマディスプレイパネル)事業が採算レベルに改善している。なお、NECはパイオニアに対してPDP事業を譲渡することでこのほど基本合意した。
コンピュータ事業については、東芝がパソコン単価下落の影響を引きずったままで、デジタルプロダクツ部門が売上高5345億円(前年同期比2%減)で営業損益は78億円の赤字となった。営業損益は前年同期に比べ166億円の落ち込みとなる。富士通はサーバー関連が企業のIT投資に明るさが見えてきたことで、第3四半期はサーバー関連の売上高が846億円と前年同期比25%伸長したものの、パソコンについては価格競争の激化とクリスマス商戦用の製品を9月に投入したことが裏目に出て減収となった。NECは、個人向けパソコンについては集中購買や部品共通化などの原価低減策に加え固定費圧縮が奏効。価格低下による減収をカバーして利益を計上できた。
ソリューションサービスについては、企業のIT投資や「e-Japan戦略」による地方を含めた公共分野のIT化の進展などで需要は拡大しているものの、価格競争が激しく増収に対する貢献度は小さい。特に公共分野は、「入札により低価格化がさらに進んでいる」(大手首脳)としており、不採算案件となっているケースもあるという。そのため引き続き、利益面では厳しい状況が続いている。
■“新3種の神器”が台頭
03年10-12月期で最大の焦点は、デジタル家電の台頭だろう。DVDレコーダー、薄型テレビ、デジタルカメラのいわゆる“新3種の神器”が業績に貢献した企業は多い。液晶パネルやPDPをはじめとして、システムLSIなど電子デバイスの復活もデジタル家電需要の拡大に支えられた。
松下電器産業は、薄型テレビやDVDレコーダーなどが好調に推移したことなどが寄与し、映像・音響機器部門の売上高は4571億円と前年同期を3%上回った。ソニーも、「フラットパネルディスプレイ、PSXを含むDVDレコーダーがシェアを拡大した」(湯原隆男グループCFO)ことに加え、バイオやソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ向けの携帯電話端末の拡大が寄与し、四半期ベースで過去最高となる売上高2兆3234億円を記録した。ただ、ソニーの場合、営業費用に計上している構造改革分を前倒し実施のために増額したことにより、営業利益は減益となった。
景気回復にともなう需要拡大の傾向がはっきりとしてきたものの、製品単価の下落などデフレ傾向は依然として残っている。また、パソコンやサーバーについては、市場では「ハードディスクや液晶など主要部品の値段が高止まりしており、さらに調達の効率化や間接経費を削減する必要が出ている」とするメーカーが多い。
ITサービスが依然として厳しい状況で、デジタル家電関連へのシフトと情報関連事業の改革といった動きがさらに活発化しそうだ。
大手ITベンダーの今年度(2004年3月期)の第3四半期連結業績が出揃った。ソニーがリストラの継続で減益となったほかはいずれも回復基調に乗った。前年同期に最終損失を計上していた日立製作所、東芝、NEC、富士通はいずれも黒字転換を果たした。景気回復の光が見えてきた中で、各社とも業績が上向く傾向がはっきりしてきたといえそうだ。(川井直樹(本紙副編集長)●取材/文)
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