MSオフィスとの連携で蘇る

　2月6日に発売になる「一太郎2004」は、「大変反響が大きい。当社に寄せられた事前バージョンアップの申し込みは前バージョンの3割増し」（小野央軌・ジャストシステムアプリケーション企画室一太郎ビジネスオーナー）と好調な滑り出しとなりそうだ。この要因として、一太郎2004は「考えるための道具」という新しいコンセプトを打ち出し、「アウトラインスタイル」、「マルチビュー」など、より質の高い文書作成を助ける新しい機能が加わった久々の大きなバージョンアップである点を挙げることができる。

　だが、ジャストシステムでは、「花子2004に対する評価が高いことも、事前バージョンアップが多い要因なのではないか」と分析する。というのも、事前バージョンアップ申し込みでは、従来以上に一太郎と花子をセットにした「一太郎2004＆花子2004スペシャルパック」（価格2万5000円）の割合が高いのだという。 では、今回、なぜそれほど花子の評価が高いのだろうか。

　花子2004には、一太郎の「考えるための道具」というコンセプトに対し、「図で考えるための道具」となる機能が新たに搭載された。オートチャートというこの機能は、直列、並列、分離型、ツリースタイルの4種類のチャートを作成する際、文字を入力するだけで、その文字を使った図が自動的に作成できる。 「これまでのチャート作成のように、図形を書き、文字を入力して貼り付けるといった工程を省くことができる。しかも、直列で作った図の順番を入れ替えたり、形状を変えたりすることが簡単な操作で実現する。とりあえずチャートを書いてみて、出来上がったものを修正しながら、自分が伝えたいことを確認していくこともできる」（小野・一太郎ビジネスオーナー）といったあたりが、考えるための道具という所以であろう。

　これ以外にも、円グラフが簡単に作成できるブロック図形などの機能がある。いずれの図、チャートも一太郎に貼り付けることができるのはもちろん、マイクロソフトオフィスとの連携強化も図られており、花子で作成した図などをネイティブのデータとしてオフィスで利用することも可能なのだ。オフィスとの連携を強化したのは、花子2004だけでなく、一太郎2004でも同様だ。「一太郎かマイクロソフトオフィスか、どちらか1つしか使わないということではなく、両製品が共存し、場面によって使い分けてもらう」という点が、今回の一太郎2004、花子2004の特徴でもある。

　そして、オフィスを使いつつ花子を利用できるということを明確化したことで、ウィンドウズ時代となってから、使う場面が限定されてしまっていた花子というソフトに、新しい活躍の場を与えた。ワードやパワーポイントを使いながら、自分独自の図を挿入できたらと考えるビジネスマンは多いはず。そんな場面で花子2004は大きな力を発揮する。ウィンドウズがプラットフォームとなり、マイクロソフトオフィスとの戦いに敗れ、市場から消えていった国産ソフトは多い。だが、「実はあのソフト、便利だったよね」と今でも言われるものも少なくない。オフィスと対抗するのでは、市場獲得が難しいかもしれないが、製品の特徴を明確化し、オフィスとの連携により、新たな活用場面が生まれるということを、今回の花子2004は教えてくれた。 三浦優子●取材／文