国際化の壁を突き破れ

　情報処理学会国際連合（IFIP）の日本代表を務めていて感じるのだが、情報処理サービスはテクノロジーだけで語られるものではない。現に、われわれシステムインテグレータは、新しいサーバーや半導体を開発していない。あくまでもITサービス産業という位置づけである。

　今後5年間における日本のIT産業の国際化を捉えた場合、少なくともわれわれが手掛けるサービス分野の国際化が急速に進むとは考えにくい。ITサービス産業は、プロダクトを販売するのではなく、あくまでもサービスであるため、短期間のうちにはグローバル化しにくいという背景があるからだ。

　一方で、アジアのIT産業のなかで、たとえば、いくら中国が台頭しようとも、同じような理由で日本のITサービス産業へは食い込んで来られない。今後5年間も、せいぜいソフト開発の範囲にとどまる。顧客と常に接しているサービス部分は、海外へ出にくい。

　この分野を国際化しようとすれば、徹底的に高度化したITサービスを築き上げる必要がある。世界最高のITサービスを実現すれば、自然に外国の企業も、日本のITサービスに興味を示し、導入してみようと思うようになる。

　日本人は、一度やりだすと、とことん凝る国民性がある。たとえば、ERP（基幹業務システム）など外国のパッケージに対して、一番うるさい要求を出すのが日本の顧客である。このため、こうしたパッケージを使ったITサービス水準も非常に高く、競争力はある。