これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「WonderPalette・尾上寿明代表取締役CEO」を取材しました。
業界に広くインパクトを与える
食品業界では、商品に賞味期限が存在するため、事前の発注量の予測を大きく外してしまった場合は廃棄となってしまう。また、商品の需要を予測する時に表計算ソフトを使うことがあるが、担当者が代わった際にノウハウが失われてしまうなどの課題が存在した。需要予測をAIで代替することで、これらの課題解決を目指している。
IT人材が不足しているのも課題の一つだ。大手企業でも、情報システム部門以外にITエンジニアがいないことは珍しくない。コンサルティング事業では、現場に深く入り込み、「普段からお悩み相談のようなレベルの課題もヒアリングしている」。ヒアリングする中で可視化された業界共通の重要な課題については、パッケージ化していく。業界に広くインパクトを与えられるよう、コンサル事業とSaaS事業の両軸で取り組む。
「Win-Win」を重視
会社と社員が「Win-Win」の関係であることを重要視している。社員に会社へ貢献してもらう分、例えばストックオプションの制度を設けているほか、活躍した際に昇給できる仕組みもつくっている。素直に反映することで社員へのモチベーションにつながる。
また、「一人一人がきちんと自分の本質的な欲求に向かって動いたほうが力を発揮する」と考える。思い描くのは、社員全員が個人の目標を持っており、会社という同じ船に乗っていることでその目標が達成しやすくなるような組織だ。そのために、会社の向かう方向と個人の向かう方向が同じであるかどうかを採用の過程から見極めるようにしている。
ITだけで完結しないから面白い
日本の「食」は世界に誇れる産業の一つだが、IT化されていないレガシーな部分を持っている。「製品や工場などの“実物”が存在し、ITだけで完結しない部分があるところに複雑さがある」。だからこそ面白く、課題解決に取り組む価値がある。
「日本の食をもっと世界に出していきたい」。まだ会社は創業したばかり。世界を目指した挑戦は今後も続く。
プロフィール
尾上寿明
1997年、岐阜県生まれ。法政大学在学中にRainを創業。学生起業家のピッチイベントの運営などを行う。その後オンライン診療スタートアップのTENET、ノーコード開発プラットフォームを提供するゼロワンを経て、2024年1月にWonderPaletteを設立。
会社紹介
AI需要予測SaaS「Wonder予測AI」の開発・運営や、食品業界向けDXコンサルティング事業を展開している。