これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「atena・白髭直樹共同創業者代表取締役」を取材しました。
時代とのずれを修正する
郵便物の管理には多大な手間がかかる。リモートワークなど柔軟な働き方が進む時代でも、会社に届く書類やはがきなどを確認するためだけに出社を迫られる場合があり、「理不尽な状況を生むアナログの代表格」とみる向きもある。
郵便は社会にとってなくてはならないインフラだ。一方で「長い歴史の中で、デジタル技術の進展との間にずれが生じていることは否めない」。郵便物をデジタル化し、どこからでも閲覧できるようにするサービスは、このずれを修正し、郵便を時代に合わせてアップグレードするものだ。
アナログとデジタルの架け橋
「アナログとデジタルの架け橋」となることをミッションに掲げている。デジタルを活用した効率性は、利便性と必ずしも両立するものではなく、人によっては、手書きのほうが思いを込めやすかったり、データではなく実物の郵便物のほうが扱いやすかったりする。「全てデジタル化することが必ずしも正しいとは限らない」
重要なのはデジタルかアナログか選択できる余地を残すこと。送り手も受け手もライフスタイルや習慣に合わせて郵便物をやり取りできるようにし、アナログとデジタルがスムーズにつながるプロセスの構築を目指している。
便利なシステムを次世代に
「極論を言えば、現代の情報化社会では知識の量やノウハウの差は、どうとでもできる」場合が多い。経営者としてアドバンテージを得るには、さまざまなリソースや能力を持つ組織、人との関係を築くことが有効だと考える。
自社の事業は、郵便の変革に挑み、すでに築かれた広大なリソースとの関係において発展できる。「いたずらに刷新するのではなく、150年以上の歴史の積み重ねを持つ郵便の仕組みと対話しながら、次の世代に手渡せるより便利なシステムにしたい」と意気込む。
プロフィール
白髭直樹
制作会社でデザイナー兼エンジニアを経験した後、フリーランスとして独立。主に広告・映像・Webなどの幅広い領域でコンテンツの制作に携わる。並行して事業型NPOやスタートアップに参画し、2020年6月に元同僚の北方佑樹氏とN-Technologies(現atena)を設立。
会社紹介
顧客に届く郵便物の受け取りや電子化を行い、クラウド上で確認できるようにするサービスなどを展開。Sansanと資本業務提携し、日本郵政キャピタルと資本提携している。