これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「イエソド・竹内秀行代表取締役」を取材しました。
組織の非効率をなくす
前職で技術領域を統括していた際、バックオフィス業務とシステム管理をなんとか効率化してほしいとの要望が上がった。会社は上場し、法令順守が重視されるタイミング。月に1回のペースで大幅な組織改編も行っていたが、権限の付け替えなどがうまくできていなかった。
人と組織の正確なデータベースがないと、そもそも現状の整理ができないと考えた。求めるシステムを探したが、見つけられなかった。「だったら納得いくものを自分でつくろう」。企業や人に関わる非効率は、どの会社にも存在するとみて、広く社会課題の解決につなげようと独立することにした。
柔軟性を持たせた設計
人事情報は、入社、退社、結婚といった項目ごとに「Excel」などで管理し、社内のあちこちに点在している企業がほとんど。働き方が多様化し、正社員、派遣社員、業務委託などさまざまな雇用形態の人が混在して働く。人事情報へのアクセス権限を適切に付与しないと、セキュリティーリスクにつながる。それを防ぐ目的で、組織に所属する全ての人の情報を正しく管理できるソリューションを目指した。
自社サービスは、企業ごとに異なる課題に対応できるよう、柔軟性を持たせて設計した。複数の子会社を有していたり、海外に拠点を抱えたりして、人事異動が頻繁にある5000人規模以上の企業から支持されている。
人やシステムを支える基盤に
業務効率化のために、その前段階で必要なデータを利用しやすいかたちに整えることに加え、セキュリティーのガバナンスも担保できることを強みとする。オフィスでは、まだ紙を使っている部署も多く、「ITの力で生まれた時間で、人にしかできない創造性の高い業務に集中できるよう、人の行動を変えていきたい」と展望する。
社名は、基礎、基盤という意味をもつ旧約聖書の言葉。自分が生み出したものでより多くの人に影響を与えることを励みに、自社のサービスが人やシステムを支える基盤になることを願う。
プロフィール
竹内秀行
1981年、千葉県出身。東京工業大学大学院情報理工学研究科中退。在学中に受託開発の会社を2社起業。ユーザベースに2008年の創業時からチーフテクノロジストとして参画、システム開発に従事し、イノベーション統括執行役員を担当。18年、イエソドを創業。
会社紹介
過去から現在、未来にわたるまで企業に所属している人の履歴、所属情報を管理できるサービス「YESODディレクトリサービス」を提供。人事ライフサイクルに沿った時系列データベースを構築し、数千人規模の人員管理に耐えうる柔軟なカスタマイズ対応ができるのが特徴。オプションとして「アカウントコントロール」機能もリリースしている。