これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「ソレクティブ・岩井エリカ共同創業者兼CEO」を取材しました。
ビジネスに外部専門家を取り入れる
理工系の大学を卒業して、最初に勤めた大手非鉄金属メーカーで「技術者だけでビジネスは成り立たない。必ず営業や企画担当などチームで仕事をしてこそ成果を出せる」ことを学んだ。
研究活動しか知らなかったため刺激的な体験であり、「もっとビジネスのことを学びたい」との思いで渡米。MBAを取得した後、現地の会社の人事部門でチームづくりの仕事に就いた。そこで「営業や企画などビジネス領域の人材にもフリーランスが多く採用されていた」ことに驚く。スピードを強く求められる米国市場において、即戦力を外部から調達する傾向が強いことを実感した。
技術や創作ではフリーランスが活躍
思い起こせば、プログラマーやデザイナー、写真家、通訳、イラストレーターと国内でもフリーランスが多く活躍するが、新規事業の開発やマーケティングといったビジネス寄りの領域は、いまだに正社員中心で組織が構築されている。
先進的なデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革する動きが活発化する中、「ビジネス側のことが分かる専門人材を柔軟に取り入れることでプロジェクトの立ち上がり速度が格段に違ってくる」と考え、帰国後にフリーランスと企業の縁結び役を担うソレクティブを創業した。
スピード感ある組織が経済を活性化
正社員は、次世代の社長や経営幹部を育成する上で効果的だが、新規事業の創出やデジタル変革の専門性をもった人材は育ちにくい。ビジネスの専門性をもったフリーランスに参加してもらうことで、日本型組織のよい点を残しつつ米国企業のようなスピード感を発揮できる。
就労人口が減る中、正社員の硬直的な働き方だけでは立ち行かなくなるのは明らか。共働きで子育てや介護をしながらでも、自分の能力を生かせるフリーランスを支えることが、「巡り巡って経済の活性化につながる」と信じている。
プロフィール
岩井エリカ
奈良県生まれ。2009年、英インペリアル・カレッジ・ロンドン工学部修士卒。10年、住友電気工業入社。12年、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校で経営学修士(MBA)取得。米国で玩具メーカーやゲーム会社の人事部門勤務。20年、ソレクティブ創業。
会社紹介
新規事業開発やマーケティング、技術者などの専門性を持つフリーランス(個人事業主)と企業を結びつける事業を手掛ける。契約書作成や請求書作成、会計ソフト「freee」との連携といったフリーランス向けサービスも提供している。