これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「onetap・武田義基代表取締役」を取材しました。
顧客の声が新たな事業に
2015年に会社を設立した当初は、認証に関する受託開発を請け負っていた。顧客からは、SaaSのログインやセキュリティに対する懸念の声が寄せられるようになり、関連する案件は徐々に増えた。
この流れが新たな事業につながり、19年にSaaS管理ツール「LOCKED」の提供を開始した。「SaaSの導入が一気に進んだきっかけはコロナ禍だったが、肌感覚としてはそれ以前から各企業の間でクラウドシフトが始まっていた」。
同じ方向に導くことが役割
会社を経営する上で、専門性の高い部分はそれぞれの分野に適した社員に任せるようにしている。一方で自分の役割は「社員同士が同じ方向を向いて働けるように導く」ことだと認識している。
ニーズの増加に伴い、23年は人員の大幅な拡大を予定している。社員一人一人がしっかりと力を発揮できる環境を整え、「1+1が3にも5にもなる」組織をつくりたいと願う。経営者として「目標から逆算し、その時々で会社にとって一番重要なことは何かを考える」という姿勢は崩さない。
価値の大きさを重視
サービスを磨いていくために、対話によるコミュニケーションを通じて顧客の声に耳を傾け、要求を製品に落とし込んでいくことを常に意識している。
導入数に加え、顧客に提供できる価値の大きさも重視している。「製品の中で10%しか便利な機能がなければ、顧客には使ってもらえない」。目指しているのは、顧客が必要とする便利な機能を追求することだ。
会社のミッションは「増えるSaaSに対してデファクトとなるサービスを創造し、クラウド前提の社会をつくる」。SaaS管理の市場は「まだ黎明期にある」とみるが、見据える目標は明確だ。
プロフィール
武田義基
1995年生まれ、東京都出身。慶応義塾大学環境情報学部でソフトウェア工学やセキュリティを学ぶ。その後はベンチャーキャピタルのEastVenturesにアソシエイトとして参画し、当時上場前の投資先企業へ出向。2015年7月にonetapを設立。
会社紹介
煩雑化するSaaSの管理統制の課題を解決する「LOCKED」を2019年から提供。SSO(シングルサインオン)と自動設定、台帳を組み合わせて一元管理できるのが特徴。