BCNアナリストの店頭市況
<BCNアナリスト道越一郎の「家電なんでも分析」>10周年を迎えた「GR」にコンパクトカメラ復活のヒント
2015/11/12 16:51
週刊BCN 2015年11月09日vol.1603掲載
この7月に発売した「GR II」は税別価格が8万円台後半の高価なカメラだ。一眼レフ並みに大型のAPS-C撮像素子を搭載しつつも画素数は1620万画素。とくに高画素数ではない。レンズはF2.8と明るめながら35mm版換算で28mmの単焦点。ズームはできない。手ぶれ補正機能すらなく、派手なスペックからはほど遠い。しかし、写真愛好家はもとより、プロの写真家にもファンは多い。「GRはよく写る」と評価が高いカメラだからだ。
市場をみると、コンパクトカメラの落ち込みは激しい。販売台数は41か月連続で前年割れ。消費税増税の駆け込み購入の影響もあり、瞬間的に前年を上回ることもあったものの、販売金額は5か月連続で前年割れだ。スマートフォン(スマホ)に市場を奪われた結果である。
しかし、1インチ以上の大型撮像素子を搭載したコンパクトカメラの販売金額は16か月連続で前年を上回った。キヤノンやソニーの1インチ前後の撮像素子を搭載した製品がこの伸びを支える。もちろんGRもその一翼を担う。写真家に支持され「たかがカメラ」の誕生祝いにファンが集まる。縮小がとまらないコンパクトカメラ市場活性化のヒントは、ここに隠されている。
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