地域No.1店舗の売れる秘訣
<地域No.1店舗の売れる秘訣 あの人気店はこうしてつくられた>ケーズデンキ上尾店 ――半径5kmの商圏で固定客を確保 県内のシェアを上げる戦略店舗
2014/09/18 18:44
週刊BCN 2014年09月15日vol.1546掲載
ケーズデンキ上尾店
住所:埼玉県上尾市大字西門前字芝道252-1
オープン日:2014年7月10日
売り場面積:約6280m2
従業員数:約55人
【店長が語る人気の理由】
千葉や茨城、群馬の店舗で販売業務に従事。埼玉のシェア拡大を図る戦略店舗でトップを任された。「経験してきたのは、すべてケーズデンキのファンが多い店舗ばかり。上尾市でもファンをつくっていく」と意気軒昂だ。
6000m2超の大型店舗ということで、「さまざまな売り場づくりに挑戦できる」こともやる気を高める。ケーズデンキは、品揃えや店内レイアウトは本部主導で進めているが、「お客様に『また来店したい』と思わせる店内の雰囲気をつくるのは現場のスタッフ」と、今は定評のある接客の強化に力を注いでいる。いかにしてファンを囲い込むのか。矢ノ倉店長の手腕に期待がかかる。
高所得で高い持ち家率 上位機種が売れる地域
22万の人口規模、世帯数が9万5000規模の上尾市。かつては畑作中心の農村だったことから、昔から住む地主が多く、世帯数全体の6割程度が持ち家で、所得は比較的高い。家電量販店にとっては、白物家電などの上位機種が売れ、ほかの地域よりも一人あたりの単価が高くなることから、各社とも出店を強化している。ノジマはノジマ上尾店を閉店し、昨年9月14日、JR北上尾駅近くにあるショッピングモールのP・A・P・A上尾にノジマ上尾PAPA店をオープン。コジマは、昨年11月25日、コジマNEW上尾春日店をビックカメラとのコラボレーション店舗であるコジマ×ビックカメラ上尾春日店にリニューアルした。エディオンは、県内3店舗のうち、1店舗をエディオン西上尾店として出店している。またヤマダ電機は、上尾市を囲むように、蓮田市にテックランド蓮田店、北本市にテックランド北本店、久喜市にテックランド久喜店を出している。
ケーズデンキも、さいたま市に浦和原山店と大宮櫛引店、川越市に川越店、久喜市に菖蒲店など、上尾周辺に出店。各店舗とも堅実に成長していたが、上尾市民を吸引することはできていなかった。そこで、この有望な空白地帯を埋めるために、今年7月10日、ケーズデンキ上尾店をオープンした。
さまざまな地域の店舗経験をもつ矢ノ倉夏二店長は、「確かに、他地域の店舗に比べると客単価は倍」と、さっそく手応えを口にする。それを象徴するのが、オープン時によく売れた4Kテレビだ。「テレビ番組を見るだけでなく、デジタルカメラで撮影した画像を高画質の4Kテレビで鑑賞したいという理由で購入する方が多かった」という。
本体の関連商品が充実 体感コーナーが人気
ケーズデンキ上尾店は、交通量の多い国道17号沿いにある。付近は、飲食店や紳士服店、中古車販売店など、郊外型の店舗が多く、上尾市民にとってショッピングエリアとなっている。こうした店舗が集中し、訪れる人が絶えない目立つ場所だからこそ、「住民の方々にアピールできる」と矢ノ倉店長はいう。郊外店ということで、平日は周辺の住民が自転車で訪れるが、休日になると買い物ついでにクルマで立ち寄る人が多い。矢ノ倉店長は、「オープンセールのときは、『近くにケーズデンキがなくて、これまでは他市の店舗に行っていた』というケーズデンキを知っているお客様が多かったが、オープンセール後は、『ケーズデンキは初めて』というお客様が多い」と客層を説明する。
こうした初めてケーズデンキへ来店する人にアピールするために、品揃えで力を入れているのが、例えばデジタルカメラの三脚や交換レンズなどの関連商品だ。さらに、LED電球や電源タップなどは、ワゴンに乗せて通路で販売している。本体に関連する商品や消耗品などの充実によって、「気軽に商品を購入できることが、客単価の向上につながっている」という。
また、楽しさの演出がリピーターの確保につながるということで、体感コーナーを充実させた。「とくに、健康器具と理美容品の売り場にお客様が多く集まる」という。さらに、ふとんクリーナー「RAYCOP」、MTGの口元集中トレーニング機器「FACIAL FITNESS PAO」、シャープのお茶メーカー「ヘルシオお茶プレッソ」、ショップジャパンの本格腹筋マシン「ワンダーコア」など、話題の商品を豊富に揃えている。「このように、最新の商品、話題の商品を実際に使ってみることができる利便性が、来店につながっている」とのことだ。
オープンから約2か月が過ぎ、「まだ固定客を確保したとはいえない状況」(矢ノ倉店長)だが、気軽に来店できる環境と、ケーズデンキが得意とする親切でていねいな接客によって、着実に地域の固定客をつくっていくだろう。ケーズデンキ上尾店は、県内14店舗でケーズデンキのシェアを高めていくための空白地帯への出店であり、また高客単価店舗の成功事例をつくるトライアルでもある。矢ノ倉店長は、「すぐにシェアを伸ばすのは難しいが、地道にコツコツと取り組めば、必ず一定の地位を確保できる」と自信をみせる。競合店との間で価格競争を繰り広げることはせずに、「お客様との信頼関係で他店に負けない」という店舗を目指している。
・ショッピングエリアでの出店
・6000m2超の売り場面積を生かした豊富な品揃え
・体感コーナーの充実
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